編曲の楽しみ
シェーンベルグネタを連発していることもあって、ブラームス作品を他者が編曲したケースに注目している。そんなつもりでCDショップを覗いていて掘り出し物を見つけた。
ピアノ四重奏曲第1番ト短調のシェーンベルグ編の余白に驚くべき曲が収められているのだ。「四つの厳粛な歌」op121全4曲の管弦楽伴奏版である。Erich Leinsdorf(1912-1993)という人が編曲している。バリトン独唱はOlle Persson、指揮Lu Jiaとなっている。指揮者は多分中国の人だろう。オケはNorrkoping Symphonie Orchestraとなっている。スェーデンのオケらしいが読み方が皆目判らない。
話半分の覚悟で聴いてみた。これがまた予想に反してまっとうな演奏である。シェーンベルグよりはずっと素直にブラームスの響きをトレースしている。金管楽器や打楽器をことさらに強調することもなく、低い音域に分厚い塊を配した控え目な編曲で好感が持てる。総譜が無いので断言は出来ないがブラームスのホルン偏重も加味されているように思う。第1曲ではトランペットに「p」(「pp」かもしれない)を与えて緊張感の創出に貢献しているし、第2曲の冒頭で歌にからみつくフルートが切ない。
余白に収められているのが、またマニアックだ。「オルガンのための11のコラール前奏曲」op122から2曲、7番と8番の管弦楽版である。「四つの厳粛な歌」と同じ編曲者だが、こちらも同様に美しい。この調子だと他の9曲も編曲されているのではないかと思われる。
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