ピアノ四重奏曲変ホ長調
ロベルト・シューマン作曲のピアノ四重奏曲変ホ長調が、ブラームスによってピアノ連弾用に編曲されている。作品番号は付与されていないが、ちゃんとマッコークルにも記載されている。真贋論争の余地のない紛れもない「ブラームス編曲」である。
この程その編曲版を演奏したCDを買い求めた。作品番号無き作品も含むブラームス作品のコンプリートの為には必須の曲だったのだが、長くCDに巡り会えなかった。出すとしたらナクソスしかないという気がしていたが、案の定ナクソスが出してくれた。
この曲第3楽章が好きで度々聴いていたし、ヴィオラパートを練習したこともある。その第3楽章の最後でチェロのC線を緩めて「B音」を出せという仰天の指示があるので有名だ。
ブラームスの創作史の初期1858年の編曲だ。ロベルト・シューマンの死から2年後だ。ブラームス自身の3曲のピアノ四重奏曲は皆1850年代中盤頃、作曲に着手しているから、何らかの影響が予想される。「これならオレにも書ける」とか「オレならもっと上手く書ける」みたいな。
で、聴いてみた。サラッと終わってしまったという印象だ。音が薄い感じ。4手にしなくても良かったみたいな音の薄さだけが気になった。それが原曲のせいなのか編曲のせいなのかはっきりしないが、とにかく薄い。たとえばワルツop39の各曲の音の厚みに比べるとスカスカという感じだ。それでもやはり第3楽章は美しい音楽だ。
編曲の出来には賛否あるのだと思うが、私にとってはそんなことより大切なことがある。誰かが演奏してCDが出たということはつまり、楽譜が出版されているということだ。これを入手してブラダスに取り込みたくなるのが見えている。因果な性格である。
このCD他にも興味深い曲が収録されている。シューベルトのレントラーのブラームス編と、ヨアヒムの管弦楽曲「ハムレット序曲」のピアノ連弾版だ。特にヨアヒムの序曲は初入手なのでお得感もひとしおだ。
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