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2006年10月17日 (火)

フィナーレ

「Finale」と綴られ「終曲」と訳される。オペラのエンディングだったり、変奏曲の終曲、多楽章ソナタ形式の曲の最終楽章を指す場合もある。

ブラームスは室内楽24曲、交響曲4曲、協奏曲4曲、ピアノソナタ3曲、変奏曲6曲において合計41回フィナーレを書いているが奇妙なことがある。それは終曲(終楽章)冒頭の楽譜上に「Finale」と記すか記さないか対応が割れているのだ。以下にマッコークルの譜例で「Finale」と明記されている例を列挙する。

  1. ピアノソナタ第1番op1
  2. ピアノソナタ第2番op2
  3. ピアノソナタ第3番op5
  4. ピアノ三重奏曲第1番op8初版
  5. ピアノ四重奏曲第2番op26
  6. ピアノ五重奏曲op34
  7. ホルン三重奏曲op40
  8. 弦楽四重奏曲第2番op51-2
  9. ハイドンの主題による変奏曲op56
  10. ピアノ四重奏曲第3番op60
  11. 交響曲第1番op68(カッコ付き)
  12. ピアノ三重奏曲第2番op87
  13. 弦楽五重奏曲第1番op88(カッコ付き)

上記11番と13番はマッコークルにはカッコ付きで「Finale」と記載があるのにスコアには記載が無いという悩ましいケースである。

すぐに気がつくことは、「Finale」の明記は初期から中期にかけてに集中していることだ。象徴的なのはピアノ三重奏曲第1番だ。1854年の初版では明記されているのに1890年の改訂で削除されている。昨年7月7日と8日の記事「スケルツォ」「舞曲楽章の流れ」でも言及したように、創作の初期ほど厚く、後期に行くほど書かれなくなる傾向は「Scherzo」でも認められた。「Scherzo」と明記される最後の作品はピアノ三重奏曲第2番op87だ。これは「Finale」と明記された最後の作品でもあり、不気味な一致である。

初期中期に集中するとは言っても、ピアノ三重奏曲第1番作品8で明記された後、ピアノ四重奏曲第2番作品26で再び記載されるまでの5曲は「Finale」記載の空白が5曲続くのも不思議である。

他にも謎が多い。作品51を共有する弦楽四重奏曲の1番2番は、2番にのみ「Finale」と明記されている。弦楽六重奏曲やピアノ四重奏曲にも見られるように、対になって作曲された作品が「Finale」の記載不記載で対応が割れているケースが多い。

変奏曲ではハイドンの主題による変奏曲にのみ記載がある。第一交響曲へのカッコ書きを例外として管弦楽曲には「Finale記載型」は存在しない。また長調短調による相関関係は認められない。いわゆる三楽章制のソナタでは第3楽章に「Finale」と明記されない。

41回もフィナーレを書いておきながら「Finale」と明記されたのが13回だけにとどまり、しかも初期から中期に集中している。明記しないとフィナーレと判ってもらえない心配があったのだろうか?あるいは演奏に入る前に「これで最後だ」と演奏者に自覚を促す必要性を感じていたのだろうか?なんだか謎が多い。

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