秋は夕暮れ
清少納言の随筆「枕の草子」は、季節毎に良い時間帯を列挙し、その理由に言及する部分から立ち上がっている。「春は曙」だ。高校時代「古典暗記マニア」だった私は当然このあたりを暗唱していた。「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬は早朝」だ。現代人が読んでもとなるほどという気にさせられる。日本人の感性は平安時代から変わっていないのかもしれない。
10月27日の記事「秋のソナタ」でも言及したように、秋になるとブラームスを聴きたくなる人は多い。平安時代から連綿と続く日本人の感性に照らしても「ブラームスは秋」なのだろう。
最近感じている疑問を一つ。
「秋になるとブラームスを聴きたくなる人」「秋はブラームスが似合うと思っている人」その他この系統の考えに賛同する人たちは、他の季節ではいったい誰を聴いているのだろう。
- やっぱりブラームス
- 他の作曲家
- クラシック以外
このくらいの分類しか思い浮かばない。私自身は秋だけが特にブラームスではなくて一年中なのでこの分類には当てはまらない。
実のところホントは一年中ブラームスを聴いているのに、秋に聴くときだけ「やっぱり秋はブラームスだねぇ」などという言葉を枕に振っている人々が少なくないのではないかと思っている。自分の行動を何かと季節に結びつけて考えるとういうのは、日本人の典型的な思考なのだろう。一年中かつおでだしをとっていても、初がつおを食せねば腹の虫がおさまらないのだ。
お名前がなくて呼びかけられないのが残念です。
幅広い嗜好で羨ましい限りです。一度も聞いたことが無い人が3人はいますね。その中で、秋冬にはブラームスにたどり着くというのが、嬉しい限りです。私が喜んでもしかたありませんが。。。
チェロソナタは春でしたか!!!おおおお!!新鮮です。
投稿: アルトのパパ | 2006年11月23日 (木) 07時37分
春→フランスやイタリアの歌曲(ドニゼッティ、ベッリーニ、フォーレとか)
夏→リムスキー・コルサコフやハチャトリヤン、グリーク、シベリウスなどのスラブ・北欧系(特にグリークなんかはCDジャケとかが氷河の写真でいかにも涼しそう)
秋~初冬→やっぱりブラームス!
冬→いろいろ
あくまで傾向です。春だからコレとコレしか聴かない!というのではないです。秋以外でもブラームスは聴くし。
あと、立春から3月半ば頃の春の初めにブラームスのチェロソナタ1番をよく聴きます。何だか1・2楽章が春の初めの薄明るい日差しを思わせるから。
投稿: | 2006年11月23日 (木) 02時55分
<ひふみ様
さっそく心強い賛同者が現われて幸せです。
月を見てはブラームス、雪を見てはブラームス、花を見てはブラームスですよね。お酒飲みと同じで飲む理由を探すことにかけては天性の素質があるってことですね。
投稿: アルトのパパ | 2006年11月15日 (水) 21時23分
>一年中ブラームスを聴いているのに、秋に聴くときだけ「やっぱり秋はブラームスだねぇ」などという言葉を枕に振っている人々・・・
まさに私など、この典型的な一人だと思います。
あまりに言いえて妙なので、思わず苦笑いしてしまいました。
でも、冬になればなったで、やっぱり冬はブラームスだねぇ、って思います。
早春もしかり、朱夏もしかりです。
まあ、四季のある国に生まれて、ブラームスが好きで、幸せですわ。
投稿: ひふみ | 2006年11月15日 (水) 21時14分