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2006年12月 3日 (日)

音楽学部ブラームス科

ずっと感じている素朴な疑問にお叱りも覚悟で言及したい。

私は、学生時代法律を学んでいたことになっている。事実上は管弦楽部ヴィオラ科だったが、オフィシャルな席ではそうも言えない。

大学時代のサークルはいろいろな学部から仲間が集っていた。文学部国文学科で鴎外を専門としている者、文学部独文学科でゲーテを学んでいるものなど多彩だ。彼らは専攻はと言われれば「国文学科」「独文学科」と答え、「ご専門は?」と問われればそれぞれ「森鴎外」「ゲーテ」と即答するはずだ。

いわゆる音楽大学ではそのあたりどうなっているのだろう。「ブラームスの辞書」の献本行脚で音楽大学を訪問する機会が増えたせいで、インターネットで音楽大学のHPにアクセスすることも多い。どこの大学もカリキュラムの独自性や、教授陣の華麗な陣容を高らかに謳いあげている。さらに「多様化する時代のニーズに敏感に反応し」みたいなフレーズは珍しいものではなくなっている。

大抵の音楽大学は「演奏」「楽理」「作曲」「教育」の4本柱だ。演奏はさらに「器楽」「声楽」「指揮」に大別されているようだ。先の質問をぶつけられたある学生は「専攻は器楽で専門はピアノ」と答えるのだろう。

  1. 文学部→国文学科→森鴎外
  2. 文学部→独文学科→ゲーテ
  3. 音楽学部→器楽科→ピアノ
  4. 美術学部→絵画科→日本画

上記のように整理してみると1、2番と3、4番で趣が違う。多様化するニーズにこたえているハズの音楽大学、さらに少子化に備えて少しでも独自色を打ち出したいハズの音楽大学なのに「作曲家を教える」ことに特化した学科が全く存在しないのは何故だろう。ブラームスを切り口に作曲・楽理・演奏を横断的に教えるカリキュラムはどうやら日本の音楽大学では存在しないようだ。モーツアルトやベートーヴェン、ショパン、バッハでも事情には大差が無い。作曲、楽理、演奏の全てのカリキュラムにおいて作曲家は単なる教材としか位置付けられていないようでもある。少なくとも私は「多様なニーズに応えている」と断言するには抵抗を感じる。鴎外やゲーテやシェークスピアが生涯の研究の目的たる存在であるのと同様、ブラームスだって生涯をかけて追求するだけの価値がある。もちろんバッハやモーツアルトやベートーヴェンだって一緒だ。文学部で当たり前に起きていることが、音楽部では顧みられていないのは奇妙を通り越して不審でさえある。少なくとも公開されたカリキュラム上からはそのように見える。

一方、美大でも「ピカソ科」や「ミレー科」などは聞いたことがない点、音楽大学と共通していそうだ。文学、音楽、美術各分野におけるそこいらの取り扱いは興味深い。過去の巨匠の作品と言えども、現代出来る事といえば見るだけの美術と、音楽を同列には論じられまい。「楽譜通り」のノリでミレーの作品を模写することが芸術の目的とはなりにくかろう。音楽は、楽譜を元に作品を復元することも、作曲自体と並ぶ重要なジャンルになっているのだ。

ぶっちゃけた話、楽器の演奏や、歌い方を習う「職業訓練校」の側面が強過ぎはしないか?楽器の演奏が上達することが目的に見える。作品はあくまでも自らのテクニックと音楽性を顕示するためのツール。この側面が一つの柱であることまで否定するものではないが、あまりに偏り過ぎてはいまいか?生誕250年を記念してどこかの音楽大学が「モーツアルト学科」を新設してもけしてバチは当たるまい。

「音楽大学でブラームスを専攻し、卒論はドイツレクイエム、副科でヴァイオリンを受講していました。4年間みっちりブラームスを学んだ学生たちによる卒業演奏の第一交響曲でソロを弾きました」みたいな学生がいてもいいのではないだろうか?就職の口については保証の限りではないが・・・。「世界最高のブラームス弾き(歌い、振り)」を目指すというニーズはそもそも存在しないのだろうか?

桃ケ丘音楽大学にブラームス科が設置されればよいのだが。もちろんミルヒーは客員教授の一人になる。

ふざけ散らしているのではない。マジに疑問なのだ。

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コメント

<narkejp様

いらっしゃいませ。
大学の学科の設置は、許認可がからんでいましたか!!
あったら面白いと思ったンですがね。

そう言えば文学部でもゲーテ科があるわけではないですからね。
学生や先生に意欲が無いからという落ちじゃなくて良かったデス。

こんにちは。面白い視点ですね。でも、理由は意外に単純で、「認可されないから」じゃないんでしょうか。それとも、海外でも同じなのかな。

<moco様

これはこれは、お久しぶりです。突立ってないでお上がり下され。

相変わらず散らかっておりますが、ご賛同いただけて心強い限りです。

「アカン」時は「アカン」とおっしゃって下され。

面白いと思います。良い案ですね。
恥ずかしながら音楽を専門としながらも、広く浅くの知識しか持ち合わせていない私です。
作曲家のネタ集めを日々しています(笑)
いまだに「ほ〜そうかそうか」と思うことばかりです。
こちらのブログも大変勉強になります。

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