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2006年12月 5日 (火)

モーツアルトへの挑戦

本日午前10時からココログはシステムメンテナンスに入る。50時間以上にも及ぶ長大なシステムメンテナンスだ。

  1. その間のブログ閲覧は可能。
  2. 管理画面へのアクセスが出来なくなる。
  3. 記事へのコメントは不可能。
  4. 12月7日午前1時から8時間はアクセスがカウントされないらしい。

仕方ないので本日の記事を朝アップする。明日6日の記事は既にセットしたが、公開はメンテナンス完了後になるようだ。

気を取り直して。

現在に伝わる資料を読む限り、ブラームスのモーツアルトに対する姿勢には一貫性がある。交響曲第40番の自筆譜を所有していたり、ピアノ協奏曲のカデンツァを複数作曲していたりという作品への積極的なアプローチが見られる。モーツアルトのあるアンダンテ楽章を評して「あれが自分に書けたら、自作のガラクタを全部くれてやる」と言ったとも伝えられている。有名なところでは、「モーツアルトのように美しく書けないならば、確かに書くことを目指すべきだ」という趣旨の発言もあった。

尊敬と言うよりも畏怖に近い感情を持っていたのではないかと思われる。

半ば畏れていたモーツアルトに対してブラームスは、創作人生の最後で真っ向から対峙する道を選ぶ。クラリネットの名手リヒャルト・ミュールフェルトとの出会いによって一連のクラリネット入り室内楽を生み出すことになった。その最初のものは作品114イ短調の三重奏曲だ。ブラームスがそう欲しさえすればこの次にクラリネットソナタを作曲してお茶を濁すことも出来たはずなのだが、ブラームスはクラリネット五重奏曲を世に問うのだ。

クラリネットに弦楽四重奏を加えた編成のクラリネット五重奏曲には、まばゆいばかりの先例がある。モーツアルトその人の作曲によるイ長調ケッヘル581だ。もちろんブラームスはその先例の存在を認識していたに決まっている。そして自分がクラリネット五重奏曲を発表すれば、人々はいやでもモーツアルトのクラリネット五重奏曲と比較することを知ってたはずだ。

それでも敢えて作曲に踏み切ったブラームスの決意が爽やかだ。

今までにかすかにモーツアルトへの思いを感じさせる瞬間はあった。交響曲の調性がジュピター主題になっていることがその代表だ。ピアノ四重奏曲第1番がト短調なのは、モーツアルトの同種曲を意識していたかもしれない。けれどもこれらはあくまでも推測だ。今度は違う。ブラームスの脳裏にモーツアルトがあったことは否定出来まい。

そしてそのことは、ブラームスがフィナーレにモーツアルト同様変奏曲を持ってきたことで確信が深まる。あくまでもモーツアルトと同じ土俵に上がるという意思表示だとも思える。イ短調に転ずる変奏はモーツアルトがヴィオラに与えた最高の出番だが、ブラームスではチェロにすり替えられて33小節目に投影されている。

どちらかの五重奏曲に軍配を上げるのは本稿の目的ではない。生涯を通じて畏怖尊敬してきたモーツアルトに最後の最後で挑戦して見せたブラームスの心意気を思いやってモーツアルトの命日に花を添えたい。モーツアルト本人が預かり知らぬ記念イヤーの喧噪もまもなく終わる。

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