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2007年2月10日 (土)

九重奏曲ニ長調

ブラームスの室内楽は二重奏から六重奏まで24曲だ。だから九重奏曲は本来は存在しない。しかし、ブラームスの少し詳しい伝記や解説書を読んでいると九重奏曲に言及されている。現在作品11となっている「管弦楽のためのセレナーデニ長調」は、当初九重奏曲として一応の完成を見ている。編成は、フルート、クラリネット2、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスである。現在の第二と第五の両楽章が抜けていたらしい。第四楽章の愛らしいメヌエットは既に完成していたということだ。九重奏のうちクラリネットだけが2本になっているのは、メヌエットのためだと密かに確信している。2本のクラリネットとファゴットが奏するメヌエットは、ブラームス史上最高のメヌエットだと固く信じている。

残念なことにipod上で完成した「私家版ブラームス全集」にはこの編成での九重奏版は収録されていない。しかしながらクラリネットを1本にして、かわりにオーボエを差し挟んだ編成のバージョンが取り込まれている。

最大の興味はあの第四楽章のメヌエットをどのパートに演奏させているかという点だ。「2本のクラリネットにファゴット」という言わば完結した小宇宙をいったいどう再現しているかがポイントだ。クラリネットの代わりに入ったオーボエが吹いていたら幻滅である。

結論から言うと2番クラリネットのパートを演奏するのはなんとヴィオラなのだ。演奏を良く聴くとわかる。1番クラリネットの6度下でヴィオラが粛々と鳴っている。どこのどなたかは存じ上げないが、見識を感じさせる編曲だ。

実を言うと管弦楽版よりキビキビ感が際立っている気がして、最近は専らこちらを聴いている。

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