弓購入しました
本日私のヴィオラ用の弓を購入した。
今まで使っていた弓は、今から26年前に楽器と一緒に買い求めた物だ。楽器は31万円の西ドイツ製。弓は7万円のフランス製。ケース込みで40万円の買い物だった。バイト代とお年玉3年分をつぎ込み、それまで使っていた楽器を売り払って学生最後の演奏会にやっと間に合ったという訳だ。
その後長男が生まれる直前だから15年前、今の楽器を買い求めたが、そのときは予算がなくて弓には手が回らなかった。だから我が家はヴィオラは2本あるのにヴィオラの弓は1本しかない状態が続いてきているのだ。
昨年長女には弓を、次女にはヴァイオリンと弓を買い求めたが、先生の助言もあってある程度弓にも予算を割いた。特に妻の形見のヴァイオリンを弾かせる長女には、楽器を買ってやらない代わりに弓を良くしてあげたのだ。効果の程は歴然だった。同じ楽器なのに音色や出方が全く変わってしまった。12万円の出費だったが後悔していない。妹にも同等の弓を選んだ。
今思えば、自分の弓が欲しくなるのは必然のなりゆきだった。
いくつかお店に足を運んだ。「ヴィオラの弓を探している」と言うと、なぜかどこのお店でも最初に「ご予算は」と聞かれる。内心ご予算は決めていても出来れば値札は伏せて試したいのだが、そうも行かない。仕方なく2、3割低めの金額を申し上げている。その瞬間にどの程度の客か見抜かれているのだろう。最低4~5本は目の前に並ぶ。値札を見ないようにして全部試してみる。大して腕に自信がないものだからこれがまた恥ずかしい。なじみが無いお店だと、恥ずかしさがさらに増幅する。店員さんだけではなく周囲に別のお客さんもいると、変に気を遣ってしまう。いじけた弾き方をしていては、弓の良し悪しもわかりにくくなるから、このあたりはジレンマである。弦楽器フェアとか弓フェアというイベントになると品揃えも良い代わりに、他のお客の集まりもいいだけにいっそう恥ずかしい。もちろん品揃えは肝心なのだが、心おきなく試せるという雰囲気も大切である。下手っぴにもそれなりの悩みはあるものだ。
相場感覚を感じただけで終わってしまった。
結局は、娘らの楽器でもお世話になっている近所のヴァイオリン屋さんで購入した。ある程度気心が知れているせいで心おきなく試せた。事前に予算を伝えておいて6本程準備してもらった。もちろん値札は伏せてだ。寺社仏閣のお守り、あるいは薬と同じで高い程良いと錯覚してしまうからだ。何よりも感覚優先だ。46センチの巨大ヴィオラが機嫌良く鳴ってくれるパートナーを探したという感覚である。私はどちらかというとC線の鳴り方優先の考えだ。「どうせA線はヴァイオリンにもついてるし」といういじけた感じも嫌いではない。
まずは、楽器を弾かずに持った感じと、見た目で探りを入れる。15分ほど音を出さずに比べた。この段階で気に入った順に並べておく。この段階で実は一本ダントツに気に入った弓があった。それに続く弓は3本だ。今回はちょっとパスしたいという弓が2本である。
次はいよいよ音出し。先の持った感じと見た目の順位を修正して行く作業だ。とても文字に出来ない微妙な作業だ。かれこれ小一時間は試したと思う。見た目と持った感じでダントツだった弓のほかに2本が候補として残った。ここで値段を聞く。見た目と持った感じを一目惚れした弓は2番目に高い価格でブラジル製だった。ほぼ2番手と目した弓が何と何と一番安い弓でドイツ製だった。一番高い弓は残念ながら良いとは感じなかった。一番手と二番手の価格は嬉しいお値引き後で12万円と20万円だ。両者8万の差が妥当かどうかの微妙な判断をすることになって、結局直感優先で前者20万を選んだ。ブラジル製である。
私にとって最後の弓になるであろう弓はブラジル製、楽器はドイツ製だ。なんだかワールドカップみたいだ。
無性に楽器が弾きたい。弓や楽器を変えるといつもこうだ。
最後に忘れてはならないこと。25年間がんばってくれた弓にお礼をいうことだ。キチンとオーバーホールをして昔のヴィオラとセットでしまっておきたい。どちらかの娘がヴィオラを手にする日まで、時折私がかまってやるのが一番だ。
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<moco様
おっしゃる通りにござります。選んでいる間が楽しいのです。
15年来の念願かなっての弓です。
恐らく生涯の伴侶になることは確実でしょう。
投稿: アルトのパパ | 2007年2月17日 (土) 22時48分
何とも素敵な日曜日でしたね。至福の時〜♪
楽器選びはお見合結婚ですね。。。わくわくどきどき☆
幸せな日々を夢見て☆
投稿: moco | 2007年2月17日 (土) 22時43分