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2007年2月20日 (火)

16倍の優しさ

自分が志望する学校が16倍の難関だったらちょっと引いてしまう。少子化の世の中でも一部ではそういうことも起きているらしい。

ピアノ協奏曲第2番の第3楽章アンダンテは「dolce」の巣だ。楽章中に16箇所もちりばめられている。この16という数字をまずご記憶いただくことにする。演奏家たちはこの「dolce」の絨毯を踏みしめながら歩むのだ。サプライズは59小節目に待ちかまえている。クラリネットに「ppp dolcissimo」が出現するのだ。「~issimo」は最上級を作り出す機能があること周知の通りであるから、16回出現する「dolce」より1ランク上の「優しさ」であることが求められる。つまり16倍の難関を突破した優しさを表現しなければならない。

さらに「dolcissimo」は生涯で17回用いられながら「ppp」との共存はここ1箇所にとどまっている。

そのつもりでこの場所を聴いてみる。第3楽章ばかりか全曲の響きの底を形成していることが実感出来よう。頭の隅のどこかに独奏チェロの疑似再現部に向けての出発点であることもとどめておきたい。

ここを聴くと思い出す歌がある。

我が宿のいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕べかも

天平勝宝5年2月23日の詞書を持つ。無論旧暦だから今よりは少々暖かくなった時期の歌だ。「音のかそけき」という表現に、作者の音に対する鋭敏な感性が投影されているように感じる。「いささ群竹」は学者の間でも解釈の割れる難解な表現とされるが、かすかな風に竹の葉が擦れ合う様の描写と考える。作者は屋内にいてそれを聞き分けているか、あるいは想像していると解して誤ることは無かろう。風の音とも竹の葉の擦れ合う音とも付かない微妙な音だ。この微妙さが「ppp dolcissimo」とピッタリ呼応するような気がしている。

作者大伴家持は万葉集の編纂に関わったとも目される人物だ。万葉も末期とあって何やらロマン派っぽい感じの作風である。人々が盛んに喜びを表現する春を、彼はしきりに「悲しい」「うら悲しい」と歌う。

私の中ではブラームスっぽいと感じている。

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コメント

<Claris様

仰せの通りにございます。しかし驚いてはなりません。

その5小節後には、ディミヌエンドが要求されています。
底なしの静寂。。。。。

「ppp dolcissimo」
これ以上デリケートな表現はないくらいですね。
音量はわずかなのに、全体を包み込むような広い優しさ。

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