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2007年3月29日 (木)

事故調査委員会

2月21日の記事「パニック」で定期演奏会で起きたブラームス第1交響曲第2楽章でのパニックについて書いた。

http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/02/post_6e70.html

昨夜当時の仲間2人と盛り上がった。私を入れて3人だが、みんなあの演奏会の経験者だ。「オーボエにつられてクラリネットも落ちて、チェロのおかげで助かった」という記事にクレームがついた。何せクラリネットを吹いていた本人が「オレは落ちていない」と言うのだから半端な説得力ではない。残る1人は私と同じヴィオラ弾きだ。飲み会は27年前の出来事についての「事故調査委員会」の様相を呈した。

私の手許には、当時使用したヴィオラのパート譜がある。問題の箇所は練習番号「B」だ。アウフタクトからオーボエが入る。オーボエやクラリネットの入りが鉛筆で書かれている。「コンマス見よ」という書き込みもある。この周辺の弦楽器はリズムが厄介な上に音程も微妙だ。約20小節間は我慢の展開なのだ。次々に入ってくるパートを耳で確認しては、自らの位置を認識したいがための書き込みだ。オーボエが落ちることなんて想定もしていなかった。あの日私はトップサイドだったから、指揮者もコンマスも至近距離から目に入ったが、そんなもの何の役にも立たなかった。

昔話とはいえ当事者の記憶は今も鮮明で生々しい。指揮者の棒は間違っていなかったし、クラリネットの1番は「伸ばしの入りはともかく16分音符の動きだしは、楽譜通りだった」と主張する。あとで「よくぞ入ったと誉められた」という。ハナっから弦楽器はアテにしていなかったからかもしれない。

チェロがインテンポとおぼしき場所で決然と入ってきた記憶しか私には残っていないが、オーボエのトラブルをまともに受け止めたクラリネットは、さぞ大変だったろう。

昔から、その手の修羅場には強い男だった。何事につけ追い込まれると力を出すタイプである。

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