初見大会
楽曲の初合わせのことを、私の所属した大学オケではこう称していた。定期演奏会で取り上げる作品の最初の全体練習だと思えばいい。曲目決定の直後に行われる。冬の演奏会の場合、遅くも8月の夏合宿までに行われた。
以前に一度演奏した曲であっても「初見」の文言が削られることはない。「演奏会に向けてこの曲に挑むぞ」という儀式の色彩が強かったと思う。事前に楽譜は配られるから、パートによっては「初見大会に向けた練習」も行われているという点においても「初見」という語句は変だが、中には本当に初見という猛者もいた。間違えたときに言い訳として「初見だしねぇ」というフレーズが便利に使えた。
私の経験した最初の初見大会はブラームスの交響曲第2番だった。楽器を始めて3ヶ月少々のひよっこの私には、何が何だか判らぬうちに終わってしまった。私の初ブラームスだった。一方4年間で最もインパクトの強かった初見大会は4年の夏。マーラーの第五交響曲に挑んだ初見大会だった。気合いを入れるために頭を丸めて臨んだが、練習番号の度に止まるといった感じだった。異質な難かしさに唖然としたものだ。本番に間に合うのか真剣に心配になった。
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