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2007年5月22日 (火)

走る

演奏のテンポが意図せずに上がってしまうこと。「accelerando」や「stringendo」の指示に従った制御された加速とは厳密に区別される。もちろんよくない現象である。しばしば「急ぐ」とも称される。走っている本人が気づかない場合も多い他、指摘されても治らないケースさえある。

とりわけ初心者で起きやすい。快速な楽曲の16分音符の箇所が要注意だ。緊張や上がりとの相関も疑われる。休符が頻繁に出現する作品では、しっかり休めていないことが原因のこともある。練習が不十分なところを過ぎて、練習十分なところにさしかかった途端に発病する場合もある。もちろん原因によって対処方法が異なる。

記憶にある限りブラームスの演奏で私がはじめて走ったのは第2交響曲だ。第4楽章の188小節目。ここから14小節間が第4楽章の難所である。微妙な臨時記号が頻発する上に、中途半端に休符が挟まって厄介だ。伴奏声部なので一人で練習していてもさっぱり訳がわからない。大学1年の夏だった。ヴィオラ初心者の私は合宿を前に一人で予習をしておいたのだが、合宿中のパート練習のときにパートリーダーから「走ってる」と言われた。指揮を見ていないこと、周りの音が聴けていないこと、休符をしっかり休めないこと、ここが難所だという緊張が重なっていたと思う。今と違って周囲の音を聴いて帳尻を合わせるマリーシアも無かった。抜け目なく開放弦を使う知恵も無かった。使えるポジションも限られていた。

今でも第2交響曲がこの部分に差し掛かるとドキドキする。

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コメント

<魔女見習い様

本当はマリーシアは上手い奴が持っていてこそ様になるのです。
下手クソが持っていてもバカにされるだけのような気がします。

適度なマリーシアが必要なこともあるでしょう。

ちょいワルおやじならぬ
マリーシア・レディもいいかも。。♪(笑)

<魔女見習い様

走るのは、不安の裏返しでもあります。不安があるのに素知らぬ顔でごまかすずるさが、サッカーで言うマリーシアに似ています。

急な坂道を自転車で下ってしまうような走りを、私はしたことがあります。
自分でも速いとわかっているのに、どうしてもダウンできない…。
でも幸いなことに、本番では走った経験がありません。

マリーシアとは、微妙なニュアンスですね。

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