変奏曲
こんな言葉の定義など私の能力では重荷でしかないと開き直ってブラームスの変奏曲作品をひたすら羅列することにする。
- ピアノソナタ第2番op2第2楽章
- シューマンの主題による変奏曲 op9
- 弦楽六重奏曲第1番op18第2楽章 最終部分で冒頭主題がそのまま回帰。
- 自作の主題による変奏曲 op21-1
- ハンガリーの歌による変奏曲 op21-2
- シューマンの主題による変奏曲 op23
- ヘンデルの主題による変奏曲 op24
- パガニーニの主題による変奏曲 op35(魔女の変奏曲)
- 弦楽六重奏曲第2番op36第3楽章
- ハイドンの主題による変奏曲 op56
- 弦楽四重奏曲第3番op67第4楽章 最終部分で第一楽章主題が丸ごと回帰。
- ピアノ三重奏曲第2番op87第2楽章
- 交響曲第4番op98第4楽章
- 弦楽五重奏曲第2番op111第2楽章
- クラリネット五重奏曲op115第4楽章 最終部分で第一楽章主題が丸ごと回帰。
- クラリネットソナタ第2番op120-2第3楽章 緩徐楽章とフィナーレを兼務。
上記の通りだ。「変奏の技法を使っただけ」というならもちろんこの程度の数では済まなくなる。
時代が下るに従って独立の変奏曲が姿を消す。それと引き替えに多楽章作品の単一楽章に変奏曲を用いる現象が増える。独立の変奏曲は、その存在そのものが初期の特色だと位置づけ得る。初期の終焉をもって変奏曲の終焉とするのは正しくない。むしろ独立の変奏曲で培った変奏技法を多楽章器楽曲の分野で活用し始めるのが中期であると捉え直すべきであろう。
パガニーニの主題による変奏曲と第4交響曲を例外とすれば、変奏曲の素材に使用される旋律はゆったり目のテンポが採用されることが多い。発想記号にしてAllegro未満である。もちろん曲の途中では速めのテンポの変奏も現れるが、最初のテーマはゆったり目が多い。第4交響曲とて、1小節を1拍と見ればそれほど速いとは言えまい。
中後期において主流となる多楽章曲において、第1楽章が変奏曲となるケースは無い。第1楽章はソナタ形式の指定席だからだ。初期ではもっぱら緩徐楽章におかれる変奏曲だが、弦楽四重奏曲第3番でフィナーレに進出を果たす。これ以降緩徐楽章とフィナーレが拮抗する。そしてそして、最後の変奏曲は3楽章制のソナタのフィナーレにおかれて、緩徐楽章とフィナーレの性格を兼備している。
時代順に並べてみるだけでも相当面白いということが判る。
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