ブラームス神社

  • 道中安全祈願

おみくじ

  • テンプレート改訂しました

独逸日記

  • ドイツ鉄道博物館のおみやげ
    2012年3月28日から4月4日まで、次女の高校オケのドイツ公演を長男と追いかけた珍道中の記録。厳選写真で振り返る。

ビアライゼ

  • Schlenkerla
    自分で買い求めて賞味したビールの写真。ドイツとオーストリアの製品だけを厳選して掲載する。

カテゴリー

« 意図された言葉足らず | トップページ | 似て非なるもの »

2007年7月 2日 (月)

旱天の慈雨

ドイツレクイエム第2曲中間部の異名だ。4分の3拍子変ロ短調の葬送行進曲に挟まれたトリオに相当する部分。古来「旱天の慈雨」と形容されている。「日照りの後に降る恵みの雨」という意味だが、「慈雨」という言葉には、もっと切実な有り難味が込められている。

葬送行進曲の重苦しさに束の間の光が差し込む。75小節目で大変に珍しい変ト長調として出現する。やがて「農夫は尊い収穫を朝の雨と夕べの雨があるまで耐え忍ぶ」という歌詞が現れる。そしてテキストがまさにその「雨」にさしかかったところ、106小節目からオーケストラ側でも「雨」が描写される。フルートとハープのアルペジオだ。106小節目で上行音形でアルペジオが立ち上がる様は、まさに「雨の降り始め」といったニュアンスである。標題音楽とは距離をおいたとされるブラームスだが、この部分の表現は明らかに「雨」を意識していると思われる。

特に112小節目と116小節目では「regen」つまり「雨」の最初の「re」が8拍間引き伸ばされる。この時先のアルペジオがいっそうあらわになることで、「雨」がさり気なく強調されて、テキストとシンクロすることになる。本人は「雨でござい」とは一切口にしない。「これは雨ですよ」と自ら訴えるなんぞ沽券にかかわるのだ。

見事だ。ブラームスには、その気になればいつでも精密な描写をする一級の腕前がある。ことさらそれを振りかざすことをしないだけなのだ。

空梅雨、取水制限の地方ではいっそう実感が伴う。

« 意図された言葉足らず | トップページ | 似て非なるもの »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 旱天の慈雨:

« 意図された言葉足らず | トップページ | 似て非なるもの »

フォト

ブラームスの辞書写真集

  • Img_0012
    はじめての自費出版作品「ブラームスの辞書」の姿を公開します。 カバーも表紙もブラウン基調にしました。 A5判、上製本、400ページの厚みをご覧ください。
2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ