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2007年7月28日 (土)

味覚と聴覚

コミック「のだめカンタービレ」18巻でオクレール先生はその見識が音楽にとどまらず「食」にも及んでいることが明らかになった。食べただけでソースの材料を判別せよと孫Ruiちゃんに迫るのだ。さらには千秋真一にもその種の特技があることが明かされる。人間の味覚とはそれほどのものなのだ。全ての人がこれほどの味覚を持っているとは言えまいが、訓練次第でたどりつける領域は相当に高くて広い。

一方昨今食品の信頼をゆるがす事件が起きた。加工食品に混ぜられてしまえば、肉の種類を判別出来ない証拠になりかねない。報道を観察する限り、見た目で見抜けず、味でも見抜けず、下痢などの健康被害の発生状況でも見抜けなかったらしい。挙げ句にDNA判定に持ち込まれた結果は周知の通りである。もちろん安心信用しきっているという先入観もあろうが人間の味覚とはこんなものなのかとやりきれないものも感じた。

味覚がこうした実態だということは身にしみた。それでは音楽にとって肝心要の聴覚はどうなっているのだろう。同一作品の演奏家による違いに言及した論説が世の中に数多く出回っているが、キチンと聴き分ける聴覚の持ち主が少なからず存在するというのは心強いと思う反面、味覚と同様の危うさはないのかとも思う。

愛好家の聴覚の平均値はどれくらいだろう。いわゆる内部告発なしには偽装が発覚しないレベルだとは思いたくはないが、私に限っていうとお釣りの来るくらい平均値未満である。ベートーベンとブラームスの区別は100%近く出来る自信があるが、ブラームスの作品を別々の演奏家で聴かされた場合、微細な違いに気づくことはあっても演奏家を完璧に当てることは出来ない聴覚の持ち主なのだ。例外は歌だ。独唱歌曲の場合にはこの確率はかなり上がる。

ブラームス作曲と書いたジャケットのCDを買って返って、家で再生したらベートーヴェンだった場合、私ならショップに事情を話しに走る。間違いない。100%判る。ヘルマン・プライと書いてるCDを買って再生したらフィッシャーディースカウだった場合も100%判る。

声を聴いただけで演奏家を当てることが出来る歌手が両手の指に余るようになったが、管弦楽を含む器楽はお手上げだ。楽章間の咳払いや、録音ノイズが決め手になるような判別はノーカウントである。ブログでも書籍でも「ブラームスの辞書」に演奏家論が現れない理由の一つがこれだ。不得意の領域には踏み込まぬという臆病者だ。

聴き分けられたらさぞ楽しいだろうと思う。私が歌曲にはまったのは、それが原因だ。歌曲は慣れてくると解るのだ。だが本当の心配はこの先だ。聴き分けられる耳を持っているのはよいこととして、CDに演奏家の偽装が無いと信じることが前提になってしまっていることだ。生演奏だけを聴いている分には平和だが、実際にはそうも行くまい。

食肉で起きていたことが音楽で起きていないことを切に祈る。一部のCDの表示にまさか演奏家偽装が起きているなんぞということはあるまいな。それを誰も見抜けていないまま、そこを出発点におびただしい数の評論が交わされているなどということが杞憂であることを祈りたい。

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コメント

<魔女見習い様

そうでしたか。

私の場合には精密に聴き分ける耳を持っていないのであまり影響はありませんが、耳のいい方たちにとってはちょっとした問題だろうと思います。音楽業界には不心得者がいないことを祈りたいものです。

う~~ん、ビミョーですねぇ。
実は、J-POPなのですが…。
CDで気に入った歌があり、たまたま、その歌手のライブがテレビで放映されました。期待していたところ、ものすごくガッカリしました。
「こんなに下手だったの?」

ホントか、ウソかはわかりませんが、その歌手の歌のたくさんの録音の中から、良いところだけを抜き出して、つなぎ合わせたのがCDなのだとか…。
そんな話を聞いたことがあります。
その歌手の場合、少なくとも、それくらいCDとライブのギャップがあるわけです。

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