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2007年8月 2日 (木)

今何調

一ヶ月ほど前から次女のヴァイオリンレッスンでドイツ語の音名を習っている。同時に少し難しいと言いながら「調性」についても説明が始まった。「ドで始まる明るい調はハ長調」「ドイツ語で言うとCdur」の類だ。最近面白いことに気づいた。明らかに長女と反応が違う。どうもそこいら周辺の話に次女は興味があるみたいだ。

調号としてつけられるシャープやフラットの数から調をあてる方法を教えたら、あっさり解ってくれた。楽譜に記された音を頼りに当てる方法も少しずつ教え始めたところだ。

今彼女が取り組むカイザーは9番だ。4分の4拍子ト長調アレグロで延々と16分音符が続く。かなり頻繁に転調がある。この曲に限らずカイザーは調の扱いが面白い。ヴァイオリン1本の1ページか2ページの小品ながら、調の配置には意図がある。

本日話題の9番で言うとト長調で始まった音楽がやがてト短調になり、変ホ長調、ハ短調という具合に進んでゆく。音程も少しずつとれるようになってきたので、演奏の途中で止まって「今何調?」と尋ねることにした。曲の冒頭がGで始まるト長調ということが最大のヒントだ。冒頭と同じ旋律が違う音で始まることが転調の印になっている。ト短調の部分は簡単だった。暗い感じの旋律になるけど、始まりはGのままだ。「ト短調」と元気な答えが返ってきた。旋律中の「H」にフラットがついて「B」に変わっているねと説明した。

この調子で変ホ長調、ハ短調、ニ長調、ニ短調、ホ短調が解明された。本人楽しくて仕方がないという感じである。やがて減7和音の連続する箇所にきた。なんだか解らぬという。いい反応だ。サスペンスドラマで謎が浮かび上がった時の旋律だと言っている。わかりやすいたとえで感心した。

「パパはどうしてすぐに何調かわかるの?」と訊かれた。答えは適当にごまかしたが、思うツボの質問である。練習をやめていくらでも話が出来そうだ。

今弾いている調が何調か解ることは大切だと思う。それに従って微妙な音程をコントロールすることが弦楽器の醍醐味のひとつだとも思う。それを意識することで譜読みの効率も上がる。何よりも調が次々と万華鏡のように移ろって行く様子を弾きながら感じとれるというのは、自分の出す音を聴いている証拠だ。今弾いている調が解り、次にどんな調に行き、最後はどこにつながるのかを知っておくことは演奏にも鑑賞にもプラスである。

一番大切なこと。それはそうした調の移ろいつまり「転調」が、ブラームスの醍醐味の一つになっていることだ。それもかなり重要度と優先度が高い。

味噌ッカスだと思っていた次女だが、見所がある。

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コメント

<魔女見習い様

とっておきの呪文一発で覚えてしまいましょう。

魔法の使い時デス。

私も一緒に教えていただきたいデス♪

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