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2007年8月12日 (日)

イタリア語ユーザー

音楽用語の多くはイタリア語である。「allegro」「adagio」「f」「p」「marcato」などみなイタリア語だ。ドイツ人ブラームスもこれらをちゃんと使っている。

ブラームスが用いた音楽用語の集大成である「ブラームスの辞書」は、結果としてイタリア語とドイツ語が占めることになる。思うだにブラームスは繊細だ。基準はわからないながら、「sf」と「rf」を区別していたことは確実だし、「poco」「piu」のような微調整語をも縦横に駆使している。

ところが気をつけなければならないこともある。これらの用語の使いっぷりを見て、ブラームスのイタリア語の語学力を判断してはいけないということだ。何もブラームスがイタリア語に堪能だった訳ではない。「sf」と「rf」の意味の違いを調べるとき、現在のイタリア人たちが、どう区別しているかを考えることは有力な方法ではあるが、完全ではない。というより有害かもしれないのだ。「ブラームスの辞書」にとって肝心なのはネイティブなイタリア語の使い手が、どう区別していたかではなくてブラームスがどう使っていたかである。

学生時代にオーケストラのトレーニングにおいでいただいた先生たちは、音楽用語辞典ばかりでなくイタリア語やドイツ語の辞書も出来れば手許に置くようにとおっしゃった。あるに越したことはないという意味ではその通りであるが、今となっては注意が必要とも感じる。

音楽用語としてすっかり溶け込みきったイタリア語の単語を、ドイツ人作曲家が楽譜上に記する時、イタリア人の自然な使い方まで転写されているとは限らない。そうしたイタリア語兼音楽用語のドイツでの一般的な意味を、原語からのズレもろとも単に踏襲しただけという可能性は低くない。音楽用語としての認知度・浸透度が高いほど、語感の一人歩きが起きていた可能性が高まる。つまりイタリア語本来の意味とのズレである。

たとえばブラームスが盛んに使用した「Andante」はイタリア語本来の意味から離れて、ブラームス本人の中で別のニュアンスを獲得していた可能性が高い。その独特のニュアンスはイタリア語辞典を熟読したところで汲み取ることは不可能だ。

こう考えて来ると、ブラームスの用語使いの癖を解明するには、イタリア語のネイティブなスピーカーの使い方を追求するより、ブラームス自身の癖を分析するほうが効率的だと思われる。イタリア語が外国語であるという一点において、ブラームスと私は何等変わるところがない。イタリア語辞典片手に「はは~ん、イタリア人はこう使っているのかぁ」という視点は、有力な情報だが決定打ではない。

私が「ブラームスの辞書」を書いた大きな理由の一つである。

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