心から私は願う
はじめての自費出版書「ブラームスの辞書」の表紙をめくって現れる本扉にブラームス自筆の楽譜が描かれている。ブラームスの最後の作品「オルガンのための11のコラール前奏曲」作品122から10番「心から私は願う」の冒頭部分だ。出版にあたりいろいろと提案を出したくれた石川書房さんのデザインだ。
良い作品を選んでくれたと、今更ながら感謝である。
ブラームスのオルガン作品への理解を深めるためにこの連休を使った。一連のオルガン作品が心を開いてくれた感じだ。むしろ私が今まで心を開ききっていなかったとも言える。これほどオルガン作品を深くネットリと聴いたことはなかった。
サッカーのチームで10番と言えばエースだ。偶然にもこのコラール前奏曲集は11曲ある。その中の10番が嬉しいくらいの作品なのだ。直前の9番も同じテキストに基づいて同じイ短調で書かれているが、全くと言っていいほど趣を異にしている。右手に延々と現れる16分音符の連続から、驚くほどの多様性が紡ぎ出されて行く。足鍵盤には主にコラール定旋律がおかれ、左手の最低部分には常にオスティナートだ。ほとんどの部分でpにとどまるダイナミクス。それでいてなおこの多様さだ。
「ブラームスの辞書」の本扉がこの曲の自筆譜になっていること、少し自慢である。
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