ばきゅん
「恋の始まる音」だ。
コミック「のだめカンタービレ」第18巻。レッスンに行き詰まる中、千秋と夕食をともにした孫Ruiちゃんは、思いあまって音楽家としての自分のことを千秋がどう思ったかを問う。千秋の答えは誠実だ。「凄いと思った」「若いのにキチンとした音楽がある」と続ける。孫Ruiちゃんも巨匠シュトレーゼマンとの競演が負担だったと真情を吐露する。
不意に背景に「ばきゅん」が描かれる。111ページだ。孫Ruiちゃんの「何これ」の自問とともに「ばきゅん」が堰を切ったように溢れだす。孫Ruiちゃんが千秋に恋した瞬間だ。「のだめと会うから」と言われて瞬殺されてしまったことからも恋の始まりだと解る。
恋のはじまりは音になるのだろうか?ブラームスの恋は作品に現れてはいないと思う。特定の作品をクララやアガーテと結びつける試みは盛んだが、ブラームスが自らの恋をストレートに作品に反映したことはないと思う。歌手やピアニストと恋に落ちる。その時期に歌曲やピアノ曲が作曲されたとしても、それは「恋がキッカケ」になったことを疑い得る程度だ。「恋が描かれている」とは断言出来まい。「恋をしていた時期に作曲したこと」はもちろんあると思うが、作品に恋が描かれていることとは厳密に区別しなければなるまい。可能性があるのは、恋が過去形になったあと、その回想がかすかに反映することは、あったかもしれない。しかし、現在進行形の恋そのままの描写は考えにくい。
「恋は人を詩人にする」という側面は確かにあると思う。あるとは思うが、ブラームスに限って申せば、恋を含む自らの生活上の出来事が、作品にストレートに反映する程単純ではないと感じている。後世の愛好家はいかようにもこじつけるだろうが、軽率に関係づけるべきではないと思う。
よっぽどの証拠が添付されるべきだ。
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<piyo様
残した作品がいかにもという感じではありますが、本当にストイックだったのかどうか何ともお答えに窮します。
私もそうですねぇ。「ばきゅん」は無いですね。「すかっ」くらいが関の山です。
投稿: アルトのパパ | 2007年8月27日 (月) 20時50分
ブラームスさまは、ストイックな方だったのでしょうか?
恋しても、顔に出さないタイプ?
最近全然ばきゅんとなりません)^^;)
ちなみにEUPHONIUMは吹奏楽でオケ編やるときにはチェロの役割をすることが多いです。
投稿: piyo | 2007年8月25日 (土) 10時36分