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2007年9月28日 (金)

夜の気分

標題音楽に背を向けたブラームスではあるけれども、ブラームスの「夜の描写」はなかなかシャープである。ブラームスにとって夜には二面性があるようだ。「長調の夜」「短調の夜」とでも分類出来よう。

前者の代表は作品43-2「五月の夜」だ。作品116-4のインテルメッツォは、元々「ノクターン」というタイトリングだったらしいので、この仲間かもしれない。ここでは夜の闇は恐れの対象ではない。またセレナーデは曲本来の性格上夜の情景のはずだが、わずかな例外を除いて軒並み長調になっている。

短調が描き出す夜は、恐れや不安の象徴だ。作品43-1「永遠の愛」冒頭のロ短調や、作品48-1「あの娘のもとへ」冒頭のホ短調がその代表だろう。調性との関連を言うなら、忘れてならないのは、ヘ短調だ。作品32-1「夜中に何度飛び起きたことか」、作品33-11「光も輝きも何と早く消えうせるものか」、作品97-1「小夜鳥」の3曲がヘ短調を共有している。幻想的とも言える夜の描写だ。あくまでも推測だが、このヘ短調の夜の描写は、モーツアルトの「フィガロの結婚」第四幕冒頭のバルバリーナのアリアと繋がっているような気がする。たしかフィガロの中で唯一の短調のアリアだ。どんでん返し連発の第四幕の冒頭で、夜の庭園の薄明かりを描写していた。ブラームスの調性の選択に影響を与えたのではないかと考えている。

やはりヘ短調に対する感覚は特異である。

9月26日の記事「ヘ短調」の記述と矛盾しない。

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コメント

<mayoneko様

おおお!ヴィオラソナタとな!!

ブラームス最後のヘ短調です。

夜の気分というには、やや情熱が勝ってしまってる気がします。

私にとってヘ短調とは、ヴィオラ・ソナタでしょうか・・・冒頭がどきどきしますね。

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