桁数制限
ブラームスが自作の楽譜の上に記したダイナミクス記号には桁数の制限がある。ズバリ3桁である。「p」「f」は一桁。「mf」「pp」は2桁である。「ppp」「fff」が3桁だ。つまり「pppp」や「ffff」は存在しないということだ。「fp」系の用語に目を転じても4桁は存在しない。「ffpp」はあり得ないということだ。
著書「ブラームスの辞書」の中では、これらの現象がブラームスの読譜への配慮であると位置づけている。人間が一目でハッキリと認識できる桁数は3だ。4桁になると人によっては5桁との区別が怪しくなる。
この事実を鮮やかに証明した実例がある。コミック「のだめカンタービレ」第17巻146ページだ。千秋真一の父・雅之の指が6本描かれている。のだめ読者の中には気付かずに通り過ぎた人も少なくないと思われる。指は5本であるという先入観も手伝っていたと思われるが、5本と6本の違いが一瞬で見分けにくいことは明らかである。
http://brahmsop123.air-nifty.com/sonata/2007/02/post_8c86.html
ブラームスの採用した桁数制限には、このような背景がある。ブラームスは演奏の経験からこうした自主ルールを設けていたことは確実と思われる。
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