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2007年9月15日 (土)

ちゃぶ台

昔、国民的な人気を誇った野球アニメがあった。いわゆる「スポーツ根性路線」の保守本流という位置づけだった。主人公の父親は、貧乏を顧みずに頻繁にちゃぶ台をひっくり返した記憶がある。その手のキャラの父親もちゃぶ台も現代日本ではほぼ絶滅したのではないかと思う。

ピアノ協奏曲第1番の第1楽章311小節目を聴くと「ちゃぶ台ひっくり返し」を思い出す。307小節目で第1ヴァイオリンがハイノートのAで運命動機ををかき鳴らす。あたり一面の属和音の中、やがて独奏ピアノが後打ちに回り、「ソ-ファ-ミ」と下降する。でもってゴールは310小節目だ。下降音型「ソ-ファ-ミ」の到達点としては当然過ぎる「レ」である。きっとコードネームでいうと「A7→Dm」なのだと思うが、不思議なことがある。到達点の310小節目には「D」以外の音が無いのだ。「Dm」つまりニ短調なら当然「D」との共存が期待される「F」も「A」も存在しないのだ。スコアの上から下まで全て「D」である。この協奏曲は「ニ短調」という先入観のせいで「A7→Dm」だと勝手に思いこんでしまうという訳だ。

私が「ちゃぶ台ひっくり返し」だと感じる原因は次の311小節目にある。前の310小節目、圧倒的な説得力で「D」にたどり着き、そのまま低音に「D」が保留される中、独奏ピアノはあっと驚くホ長調の和音をぶつけるのだ。「E-Gis-H」である。ひっくり返しと感じる原因はこの唐突で強烈な「ホ長調」だ。ひょっとして「ダブルドミナント」かとも思うし、無理矢理コードネームにすると「E7/D」なのだろうと思うのだが、そんな屁理屈は、ちゃぶ台と一緒にどっかに吹き飛ばされてしまう。

310小節の「D」が他に何も伴わなかった意味がこの瞬間に明らかになる。主音だったはずの「D」は瞬間的に「第7音」に早変わりなのだ。「D」を軸足にしてクルリと裏側に抜ける感じである。裏側に抜けるのに「F」や「A」が下手に鳴っていると足手まといなのだ。現実に鳴っていなくても聴き手は勝手に「Dm」と思いこむから大丈夫という星一徹・・・・じゃなかったブラームスの計算が透けて見える。

ピアノ協奏曲第1番の中で一番好きな場所だ。

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コメント

<通りすがり様

いらっしゃいませ。

そんなに載せてはちゃぶ台がひっくりかえせませぬ。

第一楽章冒頭の話はいずれまた記事にしますので、通りすがりなどとおっしゃらずに、いつでもお運びください。

通りすがりのブラームス好きです。
私もその箇所、印象的でとっても好きです。
ブラームスは展開型の和音が大好きですよね。
レ、ミ、ソ♯、シ、は二短調の属調の属七、なので
考えてみればそれほど突飛な用法でもない気がしますが、

(現にその後はちゃあんと属調のⅠ…しなわち二短調の属七に進行していますしね←でもここでもしっかり展開型になっているんですよね。ぬかりなく(笑))

やはり、印象的に聴こえるのは、ご指摘のとおり聴いている方がレファラだと思っていることに起因しているようですね。

展開型、といえば、そもそもあの曲、冒頭から
レーーーーーーとかましておいて、その後鳴るのは
B♭とFですから、これまた二短調のVIの和音の第一展開型、コードでいうとB♭/Dってことになりますね。
素直にIの和音=Dmではじめるのは凡庸すぎていやなんでしょう、性格出てますよね、至る所に…(笑)。

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