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2007年9月23日 (日)

精霊の主題

ロベルト・シューマンの晩年を襲った心の病の症状の一つに幻聴がある。A音が絶え間なく聞こえたり、天使が決まった旋律を繰り返し奏でたりという具合だったとされている。作曲家の性というべきか、シューマンは自らを苦しめる旋律を作品に用いている。ヴァイオリン協奏曲第2楽章や、「精霊の主題による変奏曲」にその旋律が現れるという。

ブラームスもまたこの旋律を用いて変奏曲を書いている。「シューマンの主題による変奏曲op23」である。当代きっての変奏曲の泰斗ブラームスによれば、変奏には向き不向きがあるという。何でも変奏曲の素材になる訳ではないということなのだ。旋律の美しさは当然として、ベースラインがしっかりしていることが無視し得ぬ条件だったりする。つまりブラームスによって変奏の題材に選ばれたということは、ブラームスの採用基準をクリアしていたことに他ならない。恩師への追慕、クララの機嫌取りなんぞで決定するはずもなく、ましてやシューマンの心を苦しめた旋律という興味本位であるはずもない。

健気と言うか、いじらしいというかブラームスはこの主題を変奏曲の題材に用いたことについてクララがヘソを曲げやせぬかと気を遣っていたという。結論から申せば、クララは大人の対応に終始したものと思われる。なぜならばこの変奏曲は、シューマン夫妻の三女ユーリエに献呈されている。言い伝えによると、ユーリエは最も色濃く母クララの面影を受け継いでいたという。夕顔の遺児・玉鬘みたいな存在だ。ブラームスの密かな思いの対象でもあったユーリエに、母クララの逆鱗に触れるような作品を献呈するはずがない。

9月23日にピッタリの話題だ。作品9も作品23も「シューマンの主題による変奏曲」だからだ。

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コメント

<もこ様

恐れ入ります。いい番号ですよね。

素敵なエピソードをありがとうございました。
感激です。

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