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2007年10月15日 (月)

露払い

横綱の従者2人のうち先導役を努める力士のこと。後ろに従うのは太刀持ちだ。

「露払い」という言葉を聞いて何故か思い出すのが、インテルメッツォop118-1だ。この曲調のどこがインテルメッツォなのか古来憶測を呼んでいる。以下に作品118の6曲を列挙する。

  1. インテルメッツォ イ短調 Allegro non assai,ma molto appassionato
  2. インテルメッツォ イ長調  Andante teneramente
  3. バラード ト短調 Allegro energico
  4. インテルメッツォ ヘ短調 Allegretto un poco agitato
  5. ロマンス ヘ長調 Andante
  6. インテルメッツォ 変ホ短調 Andante,largo e mesto

調性を順に並べるとイ短調→イ長調→ト短調→ヘ短調→ヘ長調→変ホ短調となっている。「A-G-F-Es」だ。クララのモチーフ「A-Gis-Fis-E」と似ている。10月13日の記事「仲直りの切り札」の中でこのことを指して「クララのモチーフの草書体」と称している。

このことは1番2番を一組、4番5番を一組と考えることを示唆する。つまり長短の同主調どうしをペアだと解釈するのだ。1番と4番は、2番と5番それぞれの「露払い」だというわけだ。作品118の6曲をこうして眺めると4曲となり、4つ全てが短調で立ち上がることになる。

「露払い」である1番と4番は短調でありながら、曲の末尾では長調に転じている。続く作品の冒頭の呼び水になっている。

特にイ短調と呼びならわされている1番は、調が曖昧だ。イ短調の主和音がかなり意図的に避けられている。その曖昧さを味わう音楽であることは間違いない。そしてその最後の和音はCに付与される臨時記号によってイ長調に転ずる。最高音に第3音のC♯を頂く終止和音は、続く2番イ長調Andante teneramente の冒頭を雄弁に予告してはいまいか。Andante teneramenteの2番冒頭と酷似した終止和音、この澄み切った和音を最後に鳴らすことが1番イ短調の目的という気さえしてしまう。荒れ狂った風雨の最後の一滴のようなキラリ感である。これに台風一過のAndante teneramente が必然として続くのだ。

作品118-2は、私にとって別格のインテルメッツォだ。だから1番イ短調のインテルメッツォにはこの2番のための「露払い」機能を想像してしまう。

して見ると3番ト短調は「太刀持ち」かもしれない。

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コメント

↓↓訂正
大変申し訳ありません。私のコメントの中の116-2、116-1はそれぞれ118-2、118-1の誤りです。

混乱させてしまってすみませんでした。

<インテルメッツォ様

私のは単なる思い付きです。

op116については、またいずれ記事にしたいと思います。

6つの小品が実は4つの小品・・・ですか、なるほど。
私も116-2は大好きなのですが、確かにこれを116-1とセットで聴くと良さが際立つように感じます。

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