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2007年12月 6日 (木)

平均律のしわ寄せ

本年12月1日の記事「平均律クラヴィーア曲集」と12月2日の記事「調性選択の三角形」と密接な関係がある。

もう一度第1交響曲の各楽章の調性を順に列挙する。

  • 第1楽章 ハ短調
  • 第2楽章 ホ長調
  • 第3楽章 変イ長調
  • 第4楽章 ハ短調

12月2日の記事「調性選択の三角形」はこの調の並びが4楽章制のソナタとしては異例であると申し上げた。12月1日の記事「平均律クラヴィーア曲集」の中で、長3度堆積の音列の例示として「C→E→Gis→His」を挙げ、両端の「C」と「His」が厳密には協和しないと述べた。この両者を無理矢理協和すると見なすところから平均律を説明しようと試みた。まさにその説明のために用いた音列「C→E→Gis→His」がそのまま第一交響曲の各楽章の調配置と一致しているのだ。

最後の「His」を「C」と見なすというしわの寄せ方こそが平均率の肝であるという文脈だった。楽章を追う毎に長3度ずつせり上がって、たどり着いた第4楽章が「嬰ロ短調」ではなくてハ短調になっている事実と呼応する。

第一交響曲側の肝は第3楽章にある。ここが嬰ト長調つまりGisdurではなくて、異名同音の変イ長調になっていることがポイントだ。この読み替えにより第3楽章から第4楽章への流れはスムーズになった。同時にこの読替は、シャープ4個のホ長調とフラット4個の変イ長調が中間に並ぶというブラームス好みのシンメトリーをも実現している。

GisとAsという異名同音の読替によりEdurホ長調の第2楽章とAsdur変イ長調の第3楽章に誤差が集約されることになる。独奏ヴァイオリンが第2楽章の最後でGisを延々と引き延ばすのはその誤差の心理的な埋め合わせに聴こえる。第2楽章でこそホ長調の第3音に相当するGisが、次なる楽章では変イ長調の主音へと変貌する。切れ切れのオーケストラを従えて保続するコンサートマスターのGis音がそれを象徴していると見た。オケ全員どころか、聴衆までもが心の中でGisをAsにと読み替えねばなるまい。

今年1月9日の記事「夢の通い路」もあわせて参照願いたい。

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