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2007年12月15日 (土)

編曲

音楽作品の演奏上の楽器編成を別の形態に変えること。元の作品の風味を損なってはならないことが不可避の前提となろう。

史上最も有名な編曲は、ムソルグスキーによるピアノ作品「展覧会の絵」を管弦楽に編曲したラベルのケースだろう。風味を損なわないどころか、原曲にない魅力まで付け加えることに成功している。この編曲がオリジナルだと思っている人も少なくないのではと思わせるものがある。

メンデルスゾーンの「マタイ受難曲」蘇演以来のバッハ再評価は、ロマン派の時代とピッタリ重なっている。名だたるロマン派の作曲家たちが、バッハ作品を各々の立場から編曲したことはよく知られている。特に編成の薄い器楽作品がそのターゲットになった。

ロマン派特有のオーケストレーションを施してしまった人も多い。華麗といえば聞こえがいいのだが、バッハにはいささか場違いと感じる。バッハ再評価も順風満帆だったわけではないといういことだ。つまり「最近再評価が進むバッハだが、オレならもっとよくしてやれる」と勘違いしてしまった人が少なくないということだ。

ブラームスのバッハに対する姿勢は、ロマン派時代としては少々異質だ。ブラームスもバッハの作品を下敷きにした編曲をしているが、原曲の風合いを損なわないという一点に関しては徹底している。「余計なことをしない」ことに徹している感じだ。クララの見舞いにと編曲された「左手のためのシャコンヌ」をブゾーニ版と比較するのが判り易い。

あるいは編曲とは別次元ながら、カンタータ第34番を指揮する際、原曲で要求されているトランペットの高音や、細かな動きのパッセージを木管に振り替えるという処置を施している。実際に演奏が聴けないのが残念だが、結果としてきらびやかな響きが抑制されたと見るべきだ。少なくとも華麗ではない。交響曲の中間楽章で金管楽器が降り番に回される効果に近い。バッハにつきものの通奏低音は、本来単音と数字だけを見て、奏者が自分のセンスで音を出すのが慣習だが、その手の即興のセンスを奏者に要求することを諦めた形跡がある。カンタータのオルガンパートにはブラームス自身による筆跡で和声が書き込まれ、数字和音からの即興を回避しているケースが見られる。当時のドイツのカンタータ演奏の現場ではこうした配慮が珍重され、高名な研究者からブラームスに楽譜の貸与の申し込みがあったほどだという。

編曲というよりも、実演に際しての現実的な措置という側面が強い。

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