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2008年1月12日 (土)

音楽における影響

作曲家の位置付けを論ずる際にしばしば用いられるフレーズ。曰く「AはBの影響を受けた」「CはDに影響を与えた」等々である。A、B、C、Dに当てはまる作曲家は理論的には有名無名様々だが、音楽史はもっぱら有名作曲家相互の影響に多くの記述を割く。大作曲家どうしのそうした話は、愛好家として興味があることはには違いないが影響の有無を決定する際の判定基準は曖昧に見える。あるいは執筆者にとっては、個々に厳密な基準が存在していたとしても、その検証の過程が明らかにされることは希で、もっぱら結果だけが記述される。

本来、関係する作曲家全てについての作風の分析が先行して確定しているべきだ。分析済みの傾向が後発する作曲家の作品に、偶然とは言えない濃度で現れた時初めて影響を云々出来る。その前段の部分のロジックが明かされないままの議論が、多いと感じる。

ブラームスの愛好家を長く続けていると、そうしたことにも慣れてくる。創作の現場において過去の作曲家からの影響をどの程度の重みと位置づけるかは厄介な問題だと思うが、ブラームスの場合についてだけ言うと、過剰に位置付けられているかもしれない。

よく言われる「ドイツ音楽の統合者」「古典派の完成者」という評価には言い得て妙な側面もあるが、「これで一つの時代が終わった」あるいは「ブラームスの作風に継承者が居なかった」というニュアンスを濃厚に含む。あたかも「受けた影響>与えた影響」であるかのような感じである。バッハ、モーツアルト、ベートーヴェン、ワーグナー、ショパン、ドビュッシーあたりは、これが逆転する。日頃の作曲家たちの語られ方を観察していてそう思う。無論、他者からの影響を受けるだけ受ける一方で、他の誰にも影響を与えなかった作曲家も多いことは申すまでもない。他者からの影響を受けるだけ受けておいてなお、音楽史に埋もれないところがブラームスの真価とさえ思えてくる。

人類が魚類の遠い子孫であることは確実視されているが、かといって人類を「肺呼吸で、直立歩行の陸生の魚類である」と言う人は誰もいない。

ブラームス自身、他の作曲家特に先輩作曲家への関心を隠していない。ブラームスのそうした傾向を嬉しくも思うが、ブラームスはブラームスであって、他の誰でもないとも感じている。

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