独奏する弦楽器
管弦楽曲において、弦楽器はいつも合奏させられている。同じ楽譜を複数の奏者が弾くという意味だ。もちろんヴァイオリン協奏曲やチェロ協奏曲の独奏者は独りで弾くが、そうしたケースを除けば基本的に弦楽器は合奏である。独奏した場合と合奏とでは、明らかに音色が違う。やがて作曲家たちはその音色の違いに着目し、管弦楽作品中に弦楽器の独奏を意図的に配置するようになる。時代が下ってオーケストラの編成が大きくなればなる程、音色の落差が大きくなって行くから、変化をつけたい作曲家に重宝されるようになった。
ベートーヴェンの交響曲には見あたらなかったと思うが、「ミサソレムニス」にヴァイオリン独奏がある。シューマンの第4交響曲にもドヴォルザークの8番にもヴァイオリン独奏がある。新世界交響曲には弦楽器のトップ奏者たちによる繊細なアンサンブルも用意されている。マーラーの五番にはヴィオラ独奏とヴァイオリン独奏が出てくる。忘れてはならないシエラザードの超絶な独奏ヴァイオリンも有名だ。ラロ「スペイン交響曲」やベルリオーズ「イタリアのハロルド」などはもはや協奏曲の域だ。
もちろんブラームスにもある。
- ドイツレクイエム第5楽章49小節目 チェロ独奏
- 交響曲第1番第2楽章90小節目ヴァイオリン独奏
- ピアノ協奏曲第2番第3楽章冒頭チェロ独奏
- ピアノ協奏曲第1番第2楽章99小節目ヴィオラ独奏
これらの曲では演奏終了後、ヴァイオリン奏者やチェロ奏者が特別な拍手を受ける場合もある。ラヴェルのボレロの演奏後スネアドラムの奏者がそうされるようにである。CDによっては名前が別記されているケースもあるから相当な出番だと認識されていると判る。
管弦楽に出現する独奏弦楽器の出番を見渡したとき、そのカッコよさにおいて上記2番3番は図抜けているように思う。プレイヤーのテクニックの披露という側面よりも、その場所が独奏でなければならぬ必然の方が勝っているという意味で絶妙のソロだと思う。そしてそれでもやっぱりカッコいいというのが最大の魅力である。このあたりのバランス、勘違いが起きがちであるが、ブラームスは踏み外していない。
<mayoneko様
そうなんです。でも他の3つに比べると目立ちにくい感じです。
投稿: アルトのパパ | 2008年1月23日 (水) 05時11分
>ピアノ協奏曲第1番第2楽章99小節目ヴィオラ独奏
まあ~っ♪
明日CD買ってきます!!
投稿: mayoneko | 2008年1月22日 (火) 22時04分