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2008年1月17日 (木)

交響曲の中の4分の3拍子

第2交響曲についてのブラームス自身の言葉がいくつか残っている。

そのうちの一つに「陽気で、どうということのない一組のワルツからなる作品」という表現がある。ワルツは申すまでも無くウイーンの名物で、急ぎ過ぎない4分の3拍子の舞曲である。「一組の」というからには2曲のハズだ。つまり4分の3拍子の楽章を2つ含むという、ブラームス独特の遠まわしな表現なのである。

言われてみると納得だ。ブラームスの4つの交響曲の中で4分の3拍子の楽章を2つ含むのは第2番だけだ。1番と4番には1つずつ含まれるが、3番には1つも含まれない。

ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンに代表されるいわゆるウイーン古典派によって完成された交響曲というスタイルは、総楽章数で4を標準とし、中間の2つの楽章のうちのどちらかに舞曲を含む。多くの場合メヌエットだが、ベートーヴェンにおいてはスケルツォにすりかわる。拍子はと申せばこれが本日話題の4分の3拍子だ。

田園交響曲が5楽章あるため、総計で37を数えるベートーヴェンの交響曲楽章を例に取る。このうち4分の3拍子の楽章は15個、40.5%だ。ブラームスにおいては16の楽章のうち4つが4分の3拍子で25%となる。この差はつまり舞曲楽章にメヌエットやスケルツォを採用するかどうかの差である。

この差こそがベートーヴェンとブラームスを隔てている。ブラームス側から見ればベートーヴェンとの差別化だ。

ところが、交響曲からせっかくメヌエットやスケルツォを追い出しておきながら、第2交響曲には4分の3拍子が2つも復活してることを自嘲気味に述べたのが、先のブラームスの言葉なのではあるまいか。「復活させはしたけれども、メヌエットやスケルツォではなくてワルツなんですよ」という気持ちが込められていると思う。そしてそれは第2交響曲がしばしば「ウイーン風」と表現されることとも呼応する。さらに第2交響曲の第3楽章には曲中で8分の3拍子も現われる他、4分の4拍子の第2楽章は、途中で何やらワルツっぽい8分の12拍子に切り替わる。

ベートーヴェンの第2交響曲ニ長調、シューベルトの未完成交響曲と共通する3拍子の密集はブラームスの交響曲においてはやや異例である。一番早くそれに気付いたのはもちろん本人に違いない。

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