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2008年2月 4日 (月)

ニ短調の緩徐楽章

誰にでもあるのかどうかはわからないが、私はたまにある。特にブラームスに関してだ。根拠を言葉で説明出来ないのに、ある考えが頭から離れないというケースのことだ。本日の話題はその手である。

多楽章の器楽曲においてブラームスは大抵緩徐楽章を置く。室内楽24曲、交響曲協奏曲8曲、ピアノソナタ3曲の計35曲のうち、緩徐楽章が無いのはチェロソナタ第1番くらいだ。全34個の緩徐楽章のうちニ短調になっているケースが2回ある。弦楽六重奏曲第1番作品18と弦楽五重奏曲第2番作品111だ。前者は1860年出版、後者は1890年だ。きっかり30年を隔てる両者は、弦楽器だけの室内楽の第一作と最終作になっている。この両者はニ短調であること以外にも何だか共通点が多い。

  1. 第二楽章に置かれている。
  2. 変奏曲になっている。
  3. ヴィオラが旋律を受け持って立ち上がる。
  4. 曲の末尾で冒頭の主題がほぼ原型のまま回想される。
  5. 4分の2拍子である。

他にもある。前者はリピート記号だらけなのであくまでも参考だが、作品18が159小節で作品111が80小節と倍の開きがある一方、後者は前者の倍のテンポになっている。

弦楽六重奏曲第1番の第2楽章。このほとばしるニ短調にどれほど胸を熱くしたことだろう。ベートーヴェンからブラームスへの嗜好の転換を決定づけた交響曲が第2交響曲だとすれば、室内楽ではこの六重奏曲とりわけ第2楽章だと申していい。室内楽といえばベートーヴェンの弦楽四重奏ばかり聴いていた若造の心を真正面からえぐったような感じだ。恋の相談をしたらベ-ト-ヴェンよりも聞いてくれそうなのがブラームスと感じたのだ。この第2楽章は回答の代わりの身の上話を聴いている感じだ。

さて何だかベートーヴェンのラズモフスキー1番の緩徐楽章にも似ている作品111の緩徐楽章は、作品18の変奏曲の解答なのではないだろうか。根拠レスながらこれが頭にこびりついて離れない。作品18の変奏曲がピアノ独奏に編曲してクララ・シューマンに捧げられたのだから、当然作品111の方もクララへの告白でなければならぬ。類似点がかなりありながら、いささか肩に力の入った前者に比べ後者はすっきりと力みがない。水が低いところに流れ下るように必然性だけで音楽が進行しているかのようだ。肩の力を抜くというのはこういうことなんだという好例である。

さて作品111の五重奏曲を書き終えてブラームスが創作意欲を失った話は、どんな伝記にも大抵載っている。創作意欲を失ったのではなく、クララへの解答を為し終えた安堵感だったなどというオチもひょっとするとひょっとするかもしれないと感じている。

根拠の無い直感である。根拠は無いが、愛情だけはあるつもりである。

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