フーガ集
一昨日の「ブラバン」ショックも冷めやらぬ中、今度はお宝CDを発見した。
「フーガ集」と題されたそのCDは、バッハの平均律クラヴィーア曲集から4声のフーガだけを抜き出して、弦楽四重奏用に編曲したものだ。第1巻から10曲、第2巻から9曲だ。付録として5声のフーガも、ヴァイオリニスト1名が加わって収録されている。
インヴェンションの室内楽版で「こりゃたまらん」と驚喜して以来、どうもこの手の編曲物に弱い。案の定楽しめる。聴いている分にはブラボーだ。
しかし4声になって声部の絡み合いが複雑な上、とてもじゃないが自分では弾けそうも無い感じが充満している分だけ、インヴェンションよりは熱狂度が落ちる。ピアノ用の楽譜を見ながら聴くとそれなりに楽しいのだが、「フーガの技法」に似た近寄り難さも感じてしまう。あるいはベートーヴェンの後期にも通じる高目の敷居だ。
演奏に加えて興味深いのが編曲者だ。2巻の2番、5番、7番、8番、9番の5曲の編曲者は、何とモーツアルトだ。405というケッヘル番号が振られている。残りはエマニュエル・アロイス・フェルスター(1748~1823)の編曲と思いきや、付録の5声のフーガ(1巻第5番嬰ハ短調)はベートーヴェン編曲になっている。そういえば14番の弦楽四重奏と同じ調性だ。
何とも華麗な編曲者である。ブラームスも1曲くらい残して欲しかった。
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