シェメッリ賛美歌集
バッハの作品一覧を眺めていると、「シェメッリ賛美歌集」という名前に突き当たる。Georg Christian Schemelli(1676?~1762)という人が、当時ライプチヒ、トマスカントルの座にあったバッハに協力を依頼して賛美歌集を編纂した。全部で900を超える賛美歌の歌本だと思えばいい。このうち69の作品に通奏低音が施されている。BWV番号で申せば439から507までの番号が付与されている。つまり69曲全てがバッハの作品として取り扱われているのだ。
最近のバッハ研究によって、この69作のうちバッハの真作はわずかに3曲であることが判明した。BWV452、BWV478、BWV505である。こうなると冷たいものでバッハ作品の解説書でも、この3作にしか言及していないことが多い。CDもほとんど無い。
「真作にあらず」と判定された66曲のリストを眺めていてお宝を見つけた。BWV454を背負った「Ermuntre dich,mein scwacher Geist」というコラールだ。「元気を出せ我が弱き心よ」とでも訳すのだろう。ブラームスの第一交響曲第1楽章の232小節目、展開部のクライマックスでこのコラールが引用されているのだ。元はドイツの古い賛美歌だともいう。現にBWV454とブラームスの第一交響曲のその場所はちっとも似ていないのだ。強いてこじつければ5小節目からの4小節が似ているように見えなくもない程度だ。ブラームスが引用したのはシェメッリ讃美歌集に収められたのとは別の「Ermuntre dich,mein scwacher Geist」かもしれない。
ずっとCDを探していたが、このほどついに入手出来た。
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