クララの絶筆
クララ・シューマンは日記をつけていた。1853年10月1日のブラームスによるシューマン邸訪問の日から、ブラームスに言及されることも少なくない。ブラームスの登場を歓迎したロベルト・シューマンや、若き日のブラームスの様子の貴重な証言になっている。
生涯にわたって綴られた日記は、1896年3月24日をもって途絶えている。この世を去る約二ヶ月前のことである。体力が衰えてこの先、物を書くことが出来なくなったという訳だ。
ところが、これはクララ・シューマンの絶筆ではないのだ。最後の日記を綴ってから、約40日後、1896年5月7日ヨハネス・ブラームス63歳の誕生日を祝う手紙こそが、この世でクララ・シューマンが書き記した最後の文字だと推定されている。たどたどしく途切れがちな短い手紙を読んだブラームスは、クララの最期が近いことを悟って悲嘆にくれた。
何と言うことか、これがブラームス自身にとってもこの世で迎える最後の誕生日となった。
今日はクララの命日だ。
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