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2008年6月12日 (木)

異端の日記

「ブログとはネット上の日記である」とはブログの入門書でときどき見かける表現だ。ブログの新参者に対するシンプルな説明として収まりがいいのだと思う。反対はしない。

それでは私の「ブラームスの辞書」が日記かというと無理がある。

巨大で決定的な違いがある。ブログは他者に読まれることが前提になっているということだ。もちろん読まれることが前提の日記だって無いとは言えまいが主流とは思えない。

毎日記事がアップされることは日記に似ているが、毎日書いているわけではない。日々の出来事を書くことはむしろ少ない。その傾向はカテゴリーで申せば「家族」や「レッスン」にとどまっている。もちろん私の周りにだって日常の出来事は溢れているが、それらを記録の対象にしていないのだ。主役はブラームスネタであって、レッスンネタや家族ネタは息抜きだ。

けれども公開の日付に意味が無いかというとそうでもない。公開の日付は記事の重要なパラメータの一つになっている。ブラームスの周辺に散在するエピソードを書き起こすキッカケとして日付に意味を持たせることも多い。「誕生日」「命日」「初演の日」だ。

クララ・シューマンの日記は、ロマン派音楽史を語る上で貴重な資料にもなっている。自身が類希なピアニストであった上に、音楽史を華麗に彩る人物が目白押しだ。日常を綴ることがそのまま興味深い読み物になる。

しかしクララはむしろ例外だ。私ごときの日常では読まれまい。だから異端の日記を指向した。10万を超えるアクセスがその選択の正しさを証明していると思っている。

20年分溜まってから振り返ったとき、自分自身がどう感じるのか楽しみである。

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