見切り発車
「議論や準備が十分でないまま、物事を進めてしまうこと」くらいの意味だ。時間の制約に追われて致し方ないケースもある。細かな内容よりも納期が大切ということも世の中少なくないのだ。
初めての自費出版本「ブラームスの辞書」の執筆段階においてこの「見切り発車」をした。思い出すだに胸が痛む決断だった。もちろん今でも後ろめたい気持ちがある。
「ブラームスの辞書」の売りはブラームス全作品の楽譜上の音楽用語を抜き出している点にある。ところが、「ブラームスの辞書」の2ページ「凡例」の9)でも言及した通り、ブラームスの作品番号付き作品122のうち以下の9作品の楽譜が我が家に無いのだ。
- op13 「埋葬の歌」
- op27 詩編第13番
- op30 宗教的な歌
- op41 5つの歌
- op50 カンタータ「リナルド」
- op55 勝利の歌
- op56b ハイドンの主題による変奏曲(連弾版)
- op93b 食卓の歌
- op109 祝辞と格言
マッコークルの作品目録を所有しているから上記の作品冒頭の発想記号は拾えているが、中間はお手上げなのだ。このうち赤文字の3作については現在では楽譜を所有しているが、その他は今も楽譜がない。
理由は簡単だ。これらが集まるまで待っていたら執筆ひいては刊行がいつになるか判らないからだ。
「ブラームスの辞書」が対象を作品番号付きの作品に絞っていたことと並ぶ、大きな心残りの一つだ。これら9作の中にレアな指定があったらと思うとぞっとする。私が本やブログで述べていること全てについてこの点がアキレス腱になっている。
コメント