事実に即したファンタジー
7月13日に記事「お盆のファンタジー2」を公開した。昨年にも「お盆のファンタジー」をアップしたし、来年は「ヨアヒムネタ」だと予告したからこの流れは当分続くだろう。
お盆の提灯を飾り、迎え火を焚くとブラームスが我が家を訪れるというコンセプトは、一昨年のお盆にいろいろと奇遇が重なり、それをブラームスのせいと位置づけたことから始まった。あの世からブラームスが本当に来るハズはないけれども、日本では古くから先祖が家に戻ってくると考えられてきた。生涯独身を貫いたから直系の子孫がいないハズのブラームスは戻る家がなくてさぞ寂しいだろうと考えた。ここから話がいくら荒唐無稽に飛躍しても読者諸賢はそれが空想の産物つまりファンタジーだと判る。
お盆にブラームスが知り合いを連れて我が家にやってくるというファンタジーを骨格に、ゲストとブラームスにまつわるエピソードを織り交ぜている。織り交ぜられるエピソードはつまり小道具だ。話全体が空想の産物である中、小道具だけは本物を志向している。本年の記事にブラームスの管弦楽のためのセレナーデの中の第4楽章のメヌエットのピアノ編曲版が小道具として登場する。クララが編曲したという位置づけだが、これは本当に存在するのだ。楽譜やCDを真剣に探しているがなかなか見つけられない。
全体が明らかに空想と解るだけに、細部へのこだわりを大切にしたい。事実と空想の継ぎ目を巧妙にぼかして味わいを深めるのが執筆の楽しみである。
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