BWV654
オルガンのための18のコラールの中の4曲目だ。「装え愛する魂よ」と題される。8月4日の記事「コラールを歌う」で述べたとおり、このコラールはブラームスのop122-5と同一のコラールが下敷きになっている。カンタータ180番の第7曲に比べると似方が今ひとつでがっかりしていたのだが、その後調べていてお宝情報を発見した。
1840年ライプチヒ・トマス教会においてバッハ記念碑のための演奏会が行われた。もちろんオルガンの演奏会だ。演奏者はメンデルスゾーン。このときの聴衆の中にロベルト・シューマンがいたのだ。メンデルスゾーンに書き送った手紙の中で絶賛しているのがこのコラール「装え愛する魂よ」BWV654なのだ。美しい装飾振りを褒め称えている。装飾振りを誉めることが出来るのは、原曲のコラールを知っているからに違いない。
ブラームスはきっとこのエピソードを知っていたと思う。まさにドイツ音楽の伝統を感じる。バッハもシューマンも、メンデルスゾーンも、ブラームスも、一つのコラールを見つめていることになる。
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