レンズ豆
サラリーマンの楽しみはランチだったりする。私もそうだ。職場の近所に行きつけのイタリアレストアランがある。週に3回行くことも多い。パスタのランチにはまりこんでいる。
あまりの暑さに冷製スープを頼んだ。何かのマメがたくさん入っていて美味だった。メニュウを見て驚いた。「レンズ豆」だという。おおおってなモンだ。これがレンズ豆かと。
音楽之友社刊行「ブラームス回想録集」第3巻20ページ。シューマンの4女オイゲーニエの回想の中にレンズ豆が登場する。
1864年9月1日ブラームスはシューマン家の長女マリーエにきれいな絵入りの料理本をプレゼントした。マリーエの誕生日だ。その本の中のフレーズが子供心に印象に残っているとオイゲーニエが回想しているのだ。生涯独身を貫きながら演奏旅行で留守がちな母に代わって家事全般を切り盛りすることになるマリーエにはピッタリの贈り物だ。その中で「大好物のレンズ豆は煮込むときに蓋をしないと柔らかくならない」と面白おかしく紹介されているという。
レンズ豆は、西アジアの乾燥した丘陵地が原産で現在の主産地はインドらしい。インドやエジプトでポピュラーな食材だそうだが、イタリア料理にもちょくちょく用いられると物の本に載っていた。19世紀後半のドイツでも珍しい食材ではなかったようだ。直径5~10ミリの丸形。マメの形状が凸レンズに似ていることが命名の根拠だと思われる。
レンズ豆がシューマン一家の食卓に上ったことは確実だし、もしかするとブラームスが食べた可能性も否定出来まい。何だか得した気分である。
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コメント
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どなた様か存じませぬが、目から鱗のご指摘ありがとうございます。
考えてみれば当たり前ですね。
レンズ豆の食用の方がレンズの発明より遡るに決まっています。
投稿: アルトのパパ | 2008年9月 8日 (月) 18時06分
はじめまして。音楽関連の記事を求めてネットをさまよっていて、偶然このブログにたどり着き、さらに、タイトルに引かれてこのページに来ました。
実は、レンズという名前はこの豆の名前のほうが先で、ラテン語の lens は、レンズ豆をさし、それと似た形状のガラス細工もそう呼ぶようになったということです。旧約聖書にも出てくるくらいですから、インド、中東、ヨーロッパでは大昔から普通の食べ物のようですね。
聞くところによれば、カトリックでは、春の復活祭の前に肉類を食べない習慣があり、そのときにレンズ豆は蛋白源として食卓に登場していた(今も?)そうです。
ブラームスはプロテスタントですが、レンズ豆は普通の食材なので、その料理を口にしたことがないはずはないと思います。
投稿: | 2008年9月 8日 (月) 10時30分
<ryuji_s1様
はい。ただいま癖になっております。
投稿: アルトのパパ | 2008年8月21日 (木) 18時16分
レンズ豆
美味しいですね
投稿: ryuji_s1 | 2008年8月21日 (木) 10時17分