網羅
漏れが無いことくらいの意味か。目的になる事項が有限であることが前提の言い回した。整数を網羅するとは言えないことからもそれと判る。人間は網羅することが好きだ。食べるために必要以上の種類を集めたいのだ。それはしばしばコレクションと呼ばれて、人間の趣味のうちの相当な領域を占める。
無限個存在するものは網羅とは言わないと述べたが、無限か有限かわからないものはとりあえず網羅の対象になる。いわば瞬間有限のものも立派な対象という訳だ。たとえばブラームスが既に死んでしまっている以上ブラームスの作品は有限個だ。これに対してブラームスの作品を録音したCDは、今この瞬間に存在するCDは有限だが、今後出現することをやめないだろう。これが瞬間有限だ。
ブログ「ブラームスの辞書」について最近感じ始めていることがある。本の宣伝媒体として始まったブログだが、このところ自分の中で位置づけが変化してきている。
私という人間の頭の中に去来したブラームスネタを全て文書にして残したいと思うようになった。同じネタを繰り返し思う場合は別として、脳味噌にチラリとでも浮かんだブラームスネタは全部書留たいのだ。この先生きている間は新たなブラームスネタを思いつく可能性がある。これはまさしく「瞬間有限」だから網羅の対象である。
気をつけねばならないのは、死ぬ瞬間に新たなブラームスネタを考えていると、それは文書に出来ないということだ。死ぬ瞬間を迎えるまでに全てのブラームスネタを思いつき終えていなければならない。
コメント