美髯公
「びせんこう」と読む。出典は三国志だ。主人公劉備玄徳と義兄弟の契りを交わした関羽雲長のニックネームだ。
三国志の登場人物の中では諸葛亮と並ぶ人気者だ。武勇と知略を兼ね備え義理堅く信義に厚い。目上の者や同輩には横柄だったが、部下には優しく接した。一方敵方の曹操からも手厚く遇された。臨沮で敗死した関羽の遺骸を諸侯に準ずる儀礼をもって葬ったという。正史の記載でもその英雄ぶりは明らかだが、羅貫中の三国志演義における活躍ぶりは群を抜いている。その人気は現代にまで及び、商売の神様ととして華僑たちの守り神になった。世界各地のチャイナタウンには関羽を祭った祠つまり関帝廟がある。
その関羽はアゴと頬に見事なヒゲをたくわえていた。だから美髯公といわれているのだ。髯というのは頬のヒゲのことだ。アゴヒゲは鬚と書くらしい。関羽は髯に加えて鬚も自慢だったという。
晩年のブラームスの肖像にも見事なひげがある。アゴヒゲとホホヒゲの境界もわからぬくらいだ。つまりブラームスも豊かな鬚と髯を持っていた美髯公である。
武勇と知略を兼ね備え義理堅く信義に厚いという関羽となんだかキャラが重なって見える。当時「天下二分の計」によってワーグナーと論争していたという訳ではない。
話題の映画のせいで三国志の注目度が上がっているから、こういう記事をアップしておくとアクセスが増えるかもしれないという「苦肉の策」である。
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