鉄道の罪
ブラームスの活発な演奏活動が鉄道の発展によって支えられていたことは既に述べた。ところが、ブラームス自身その鉄道に文句たらたらのエピソードがある。
1894年民謡研究の集大成「49のドイツ民謡集」が刊行された。友人のホイベルガーはこれに先だってブラームスと意見交換をした。音楽之友社刊行の「ブラームス回想録集」第2巻108ページだ。
ブラームスはそこで自らの民謡集にはライン地方の民謡が収録されていると明言している。数年前まで鉄道も通っていなかった地域だとも言っている。ニュアンスとしては「だから価値がある」とも受け取れる表現だ。続けて、最近は鉄道が発達してしまったおかげで、どこの民謡も同じようになってしまったと主張する。民謡の素朴な味わいを尊重する立場から、ここでは鉄道は厄介者扱いされている。
鉄道どころか飛行機が世界中を飛び回っていることを知ったら何と言うだろうか。
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