減七の和音
短三度の堆積によって得られる和音。Cを起点にすれば「C-Es-Fis-A-C」となる。一度に鳴らされる場合と、分散和音として鳴らされる場合と両方ある。
さてさてブラームス作品にも減七の和音は売るほど現われる。思うに一番印象的なのは作品118の6番だ。変ホ短調のインテルメッツォの3小節目と4小節目に現われる。この響きが作品全体のありようを決めているようにも聴こえる。ヴィオラソナタ第1番の第1楽章にも印象的な減七の和音がある。177小節目と181小節目の16分音符は減七の和音をなぞっている。
私が生まれてはじめて実感した減七の和音は第1交響曲の第4楽章に出てくる。146小節目だ。1拍目裏Aを起点に下降をはじめる。C線の開放弦まで降りてまた上昇に転ずる。2小節に渡って浮揚感を味わえる。
ブラームスやバッハにおいては欠くべからざるスパイスになっている。
娘たちのレッスンの教材になっているカイザーには早い段階から割と頻繁に見かける。臨時記号が頻発するので、立ち往生のキッカケになりやすい。「半音が3個挟まれた音に飛ぶ」と教えて「減七の和音」(げんしちのわおん)と3度言わせた。練習の最初に減七の和音の箇所に丸をつけさせることにしている。すると間違えずに音が取れる確率が数段高まる。今鳴っている和音の名前を覚えさせることで、音取りが楽になるのだ。サスペンスドラマでよく鳴る和音だと言っている。
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