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2008年12月16日 (火)

音型

「音の形」と解すると訳がわからなくなる。「音の並び方のパターン」とでも言っておこうか。旋律よりはずっと緩い概念である。同じ音型と定義し得るのに、間違っても同じ旋律には聞こえないことも多い。

何か具体的な意味を音型に託してみたり、音名を付与して具体的な単語を想起させたりと応用が利く。ブラームスはこの音型の扱いが巧みである。

  1. 半音下降の半音上昇 
  2. アウフタクトの4度上昇
  3. 3度進行
  4. CDFE。いわゆるジュピター音階

複数の作品に出現するパターンだけでも上記の通りすぐ思いつく。作品の主題はいつも音型として抽象化され、拡大、縮小、反転、鏡像のようなさまざまな処理が施される。驚いたことに伴奏パートの音型でさえ周到にアレンジされていることが多い。

音型が重要なファクターとして受け止められていることの前提に楽譜があることは言うまでもない。聴いて分らぬ音型の関連が、楽譜上に示すことによって明らかになる場合もある。音型という概念は楽譜に記された「音符配置のパターン」と呼び換えることさえ出来そうだ。感覚が瑞々しい子供たちには、視覚に訴える楽譜の効果も無視できない。

たとえばヴァイオリンを習わせている娘らは、教則本のお世話になっている。聴き覚えのない16分音符の羅列をある程度速いテンポで弾かせると、しどろもどろになることが多い。1個1個の音を見て取って、指に信号を送るのが間に合わない印象だ。ところが、音型を意識させるとたちまちスムーズになる。似た音型を鉛筆で指し示したり、同じ音型の繰り返しであることを示してやると、次の音の予測が容易になるのだと思われる。幼いうちから「音型を意識すると楽だな」と感じさせることは良いことだと思う。将来ブラームスを弾くならけして無駄な経験ではないと思われる。

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