北原白秋
中でも彼の短歌が好きだ。高校で習って以来、好きになった。一番好きなのは下記の通りだ。
君帰す朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ
現代語訳不要の色艶だが、高校生としては、少々やばい。
1番こそ譲るものの大好きな歌が、次の歌だ。
すずろかにクラリネットの鳴りやまぬ日の夕暮れとなりにけるかな
「すずろか」が急所だ。クラリネットの音の描写であることは疑い得ないが、辞書を引いたところで載っていない。北原白秋にのみ許された北原語だ。読者に解釈を任せるのだ。「すずろか」という語感だけが手掛かりだ。「涼しげ」「まろやか」の中間あたりを狙ったかもしれぬ。「すずろか」の語感だけで申すならモーツアルトのクラリネット五重奏曲の第1楽章あたりがぴったりと来る。上の句「すずろかにクラリネットの鳴りやまぬ」だけならモーツアルトだ。ところが、下の句「日の夕暮れとなりにけるかな」と続くと、にわかにブラームスの可能性も浮上する。
北原白秋はブラームス存命中の1885年1月25日の生まれだから、今日が生誕124周年の記念日だ。ドイツの有名な指揮者、フルトヴェングラーが1886年1月25日生まれなので、ちょうど1年違いということになる。
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<魔女見習い様
でしょでしょ。
クラリネットの中音域の豊かな響きの表現にピタリとはまりまる感じです。オーボエやフルートではダメな気がします。
投稿: アルトのパパ | 2009年1月25日 (日) 19時11分
「すずろか」とは素敵な響きですね。
北原白秋は私も好きです。
投稿: 魔女見習い | 2009年1月25日 (日) 17時31分