とてもかなわない
作品番号72-4を背負ったブラームスの歌曲のタイトルだ。
この作品のイントロはスカルラッティのソナタニ長調K223から借用になっている。楽譜の出版にあたって、この借用をスマートに示す良い方法はないかと、友人のヘンシェルに相談している。我が家の楽譜には作品冒頭の当該部分に「D.Scarlatti」と添えられている。
さてさて、その引用元のソナタニ長調のCDをとうとう入手した。ずっと気にかけていたがやっとという感じだ。ピアノ版では趣が薄いのでチェンバロ版をなどというわがままを言っていたせいもあるが手こずった。そもそもスカルラッティのソナタ集というアルバムは、かなりの数が出ているのだが、このソナタはちっとも収録されていないのだ。今回入手したのも全集の一部として発売されていたものだ。3枚組で1200円少々だから全く文句は言えない。
スカルラッティのソナタを録音しようかというピアニストやチェンバリストのチョイスには入ってきにくい作品なのだろう。ところが先の友人への相談の中で、ブラームスは「スカルラッティのカッコいいソナタ」と言っている。
実際に聴くとキリリと引き締まった佳品だ。本当にそっくり取り入れたということがよくわかる。
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