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2009年2月24日 (火)

アリア

「Aria」と綴られる。オペラなどの声楽曲にあって、叙情的旋律的な独唱曲のことだ。転じて旋律的な器楽曲にもタイトリングされる。バッハ管弦楽組曲第2番の中、人呼んで「G線上のアリア」はその代表だ。あるいは不滅の変奏曲「ゴールドベルグ変奏曲」の冒頭も「アリア」とされている。

生涯オペラを書かなかったブラームスには縁のない言葉だと思いきや、「ヘンデルの主題による変奏曲」の主題が「Aria」と記されている。英語形の「Air」となっている楽譜もある。

原曲はヘンデル作の、クラヴィーア組曲第2巻の第1番変ロ長調HWV434の主題である。タイトルは「Aria con variazioni」となっている。つまりヘンデルのオリジナルも「主題と変奏」になっているのだ。実際にCDを聴いてみると、ブラームスは主題提示において完全に原曲を再現していることがわかる。時はロマン派真っ只中。その時代にヘンデルから主題を拝借して平然と変奏曲を書いてしまうブラームスは、やっぱり浮いていたんだと思う。

曲を聴いたワーグナーの感想は名高い。「古い形式でも取り扱いを心得た人にかかると生き生きと蘇らせることが出来る」

額面通りに受け取るのは無邪気が過ぎるかもしれない。強烈な皮肉である可能性をいつも心に留めている。

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