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2009年3月 5日 (木)

家計簿の担い手

昨年12月30日の記事「家計簿」で、ロベルト・シューマンがエンデニヒの病院に収容された後、一家の家計簿をブラームスがつけていたことに言及した。その記事の中で、以下の通りの疑問を提示した。

  1. シューマンの投身以前、誰が家計簿をつけていたのか。
  2. 家計簿記入の単位は毎日か毎月かあるいは毎週か。

このほどこの2つの疑問に鮮やかな回答をもたらす書物に出会った。2月22日の記事「ヘビースモーカー」および同26日の記事「社交の小道具」に関連してタバコについて調べていて発見した。山愛書院刊行の「タバコとクラシック音楽」という本だ。お宝情報は112ページ。

ロベルト・シューマンはクララとの結婚生活が始まった1837年8月から2ヶ月後の10月2日から1854年3月4日まで、支出簿をつけていたと書いてある。これだけで上記の疑問1は解決する。家計簿をつけていたのはロベルト本人だった。

この支出簿の最後の日付にご注目いただきたい。これはライン川への投身があった2月27日より後だ。何とエンデニヒの病院に行くためにデュッセルドルフを出た日にあたる。そしておそらくロベルトの一大事を知って「いざ鎌倉」とばかりにブラームスが到着した日だ。

驚いてはいけない。さらに貴重な証言が続く。家計簿が実に丹念につけられていることがわかる。葉巻に関する支出の記録が1837年10月3日つまり家計簿付けはじめ翌日から、1853年10月31日までの間実に447回に及ぶとされている。平均2週間に1度のペースだ。これを丹念と言わずに何と言うのか。タバコ以外の支出も含めればほぼ毎日、支出がある度につけていたと見るべきだ。上記2の疑問に対する十分な答えだと感じる。

さらに1850年10月と11月の2ヶ月を例にとって、葉巻代が支出の18%に達し、クララに渡した家計費の85%に相当することが明かされる。筆者の主眼はこれをもってロベルトをロマン派最高の葉巻愛好家と推定している点にあるが、私はむしろクララに毎月生活費を渡している点に注目したい。家計は夫ロベルトが主管していたということだ。

もっと細かなことを言う。タバコ関連の支出記録の最後は1853年10月31日だとされている。そして支出簿の最後の記載が1854年3月4日だ。その間11月から2月までの4ヶ月、タバコに対する支出記録が無いということだ。それまで平均2週間に1度のペースで記録されていたことを考えると不自然だ。病が悪化した可能性を考えたい。

一番嬉しいことは、こうした一連の家計簿ネタの最後に、この家計簿はブラームスによって締められていると証言されていることだ。

ブラームスはロベルトの丹念な記載を引き継いだと考えるのが自然だ。完璧に支出を記録して毎月喜々としてクララに報告していたに違いない。カッコいいと言うにはあまりに切ない。

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コメント

<魔女見習い様

おおお!低音部ではなくて高音部でした。高音部をブラームスが担当する時だけ、お許しがあったそうです。

譜めくりと関係するらしいです。

ロベルトがヘヴィな葉巻愛好者だとは知りませんでした!
それではブラームスがくわえタバコで連弾しても、クララは許すわけですね。
ただし低音部を担当するときだけ、ということは、
ブラームスは左側にくわえるクセでもあったのでしょうか?

<narkejp様

もっともな疑問です。

シューマンの投身という「いざ鎌倉」で、目の前に困窮するクララが居るということが、巨大なモチベーションになることは疑い無いところです。

ロベルトの残した家計簿を参照しながら、見よう見まねでというのが自然かと。

ブラームスは、家計簿の記帳の習慣をいつ頃身につけたものでしょうか。ブラームスの家庭では、父親が家計簿をつけていたものか、それとも中流家庭の出身だった母親か。それまでに家計簿の記帳の経験がないと、クララが家計をまかせられる信用が得られないような気がします。大学生のわが息子には、とてもまかせられません(^o^;)>poripori

<めり様

でしょ。でもね実はバッハもこの手の記録をかなり真面目に残しています。

独身のブラームスは別ですが、ドイツの亭主たちはみなこういう風なのではと思います。

怖いもの見たさで、ワーグナーの家計簿に興味があります。

ロベルト、意外に(?)几帳面だったのですねぇ~。まさに「勤勉、質素、貞節」の生活信条を宣言したロベルトだけあります♪
それにしても、家計簿ひとつからこんなに色々なことが分かるなんて。やはり一番生活に密着する部分ですから、彼らのありのままの姿が見えてきますね。

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