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2009年3月19日 (木)

白玉2個

全音符と2分音符を白玉という場合がある。符頭が黒く塗りつぶされないからだ。付点2分音符も含めたこの白玉が多いと、楽譜全体が白っぽく見える。素人の演奏家にとっては指回しの苦労が少なくて済むという有り難みとセットになっている。

本日のお題「白玉2個」でいう白玉とは、特に2分音符を指している。

バッハのブランデンブルグ協奏曲第3番の第2楽章は、「白玉2個」で出来ている。和音の形で記譜されているから正確には「白玉2個分」と呼ぶべきかもしれない。2つの和音の輪郭がサラリと示されているだけだ。あるいはこの2種の和音の移ろいを示すことが目的とも思える。何らかの楽器による即興演奏のためお題かもしれない。ブランデンブルグ協奏曲どころかバッハの全協奏曲に対象を広げてもこのような例は珍しい。

楽章と呼んでいいのか少し疑問である。

もちろんブラームスにはそんな楽章はない。けれども歌曲のイントロが「白玉2個分」というケースならば2つ実在する。

  1. 「古き恋」op72-1 白玉の合計は6個である。ト短調であることを隠し通すかのようなシンプルなイントロだ。
  2. 「夏の宵」op85-1 白玉の合計は2個。正真正銘の「白玉2個」である。

シンプルと言うよりも何か本質的なことを隠しているようなニュアンスだ。隠すと見たいという心理を逆手に取っているのかもしれない。

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