歌曲コンプレックス
4月17日の記事「平均律歌曲集」をもって歌曲特集の後半戦がスタートした。本日はどさくさに紛れて大切な告白をする。
「ブラームスの辞書」の執筆を決意したとき、心にひっかかっていたことがある。「ブラームスの辞書」などという大それたタイトルを掲げる以上、記述が管弦楽や室内楽に偏ってしまうのは恥ずかしいと考えていた。ところが実際に私のブラームス体験は圧倒的に器楽に偏っていた。特に歌曲や重唱曲の空白は目を覆うばかりだった。
それに対する引け目が、私を全作品のチェックに駆り立てたと申し上げていい。大管弦楽に存在する「ff」も、歌曲にひっそりと存在する「pp」も同等の扱いにした。大管弦楽全てのパートに「ff」があっても、同時である限りあくまでも「1」とカウントしたのもそのためだ。参加するパートが多い作品の重みが実態以上に反映してしまうからだ。
それでもやはり、「ブラームスの辞書」の記述は器楽に厚くなってしまった。
ブログ「ブラームスの辞書」では、その埋め合わせをしようと心に誓ってきた。カテゴリー「31歌曲」にはそうした決意が色濃く反映することとなった。
1月5日の記事「狼煙」で宣言した通り、今年に入ってから歌曲に関わる記事を意図的に多く発信してきた。昨年後半の地名探検に次ぐ隠しテーマだった。本日のこの記事でカテゴリー「31 歌曲」の記事が100本に達した。「33 室内楽」「34 交響曲」「35 協奏曲」より先に100本に到達するのは感慨深いものがある。むしろ今回の歌曲特集自体が器楽系のカテゴリーより歌曲のカテゴリーを先に100本にたどり着かせるための工作だったことを、この際告白せねばならない。
コンプレックスの裏返しである。
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