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2009年4月29日 (水)

セレクトという芸術

作品の数の上の話ならば、ブラームス作品はテキストを伴う作品が大半を占める。テキストを伴わない器楽曲に有名な作品が多いことは事実だが、数の上では少数派だ。

もちろんブラームスは作曲家である。詩人ではないから作詞はしていない。詩を世に問うことをしていないという意味だ。けれども先に述べた通り、膨大な数のテキストを自作のために選んだことは紛れもない事実である。

世の中に存在する膨大な量の詩の中から、曲を付与したいという欲求を惹き起こす詩を慎重に選んだのだ。先にテキストがあり、あとから曲を付けるという順序だったことは明白だ。浮かんだ曲に合わせて詩を探したことはほとんど無いと思われる。そしてテキストの選択にあたっては、ブラームスだけに判るある種の基準が存在したこともまた確実である。

恐らく詩人の知名度は重要なファクターではなかった。有節歌曲として処理出来るかどうかを瞬時に見抜く目も持っていた。複数の節からなるテキストの一部を省略することで、曲としての収まりを格段に向上させたこともしばしばだ。オリジナルには無いリフレインを効果的に使うセンスも持ち合わせいた。

欧州での地位を不動のものにした出世作ドイツレクイエムのテキストは、聖書の中の語句からブラームス自身が抜粋することで成立している。作品で訴えたい理念に合わせてテキストを選んだことは明白だ。その取捨が適切だったことは歴史が証明している。ドイツレクイエムは初演後、瞬く間にドイツ中で演奏された。聴き手は信仰の厚いドイツの人々だ。ドイツレクイエムは、日ごろから聖書に習慣として親しんでいる人々を唸らせたのだ。音楽はもちろんテキストの選び方が素晴らしいからこそ、聴衆を虜にすることが出来たと断言してもブログ炎上にはなるまい。

自らの音楽に付与すべきテキストの選択を誤らなかった。そうして出来上がった曲をさらにフィルターにかけた。二重のセレクトの結果、ブラームスは驚嘆に値する高打率を残しているというべきだ。

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